旧奥沢ダム

 写真は、旧奥沢ダムである。ダムの堰堤は削り取られ、ダム湖はなくなり、上の白い部分しか湖に隠れて見えなかった取水塔は、港の灯台の如き姿になっている。まっすぐに整備された二股沢川の流れが、勝納川へと合流して行く前段階の様子が写っている。

 奥沢ダムは平成23年(2011年)6月、堤体に円形状の陥没が見つかり、現在の基準に合わせて改修すると、費用が数十億円かかるということで、小樽市はその年の8月に、97年間稼働した当時北海道最古の奥沢ダムの廃止を決定したのである。

 ここは、私が小学校から高校まで、幾度となく炊事遠足で訪れた場所である。その頃は奥沢ダムなんて呼ぶ人はいなく、みんな奥沢水源地とか、単に水源地と呼んでいた。

 小学5.6年時の担任だったK先生が、奥沢水源地は二つあると教えてくれた事があった。どういう事かと言うと水源(池)と水源(地)があるというのだ。

 その頃の小樽市内地図をみると確かにダム湖は奥沢水源池、道路を挟んだ向かい側にあった浄水場には、奥沢水源地と記載されていた。子ども心になるほどと思ったものだった。

 さらに、公園としての水源池(地)はどっちなんだと、新たな疑問も出て来たのだ。結論から言うと、公園、緑地としては奥沢水源地を使用しているようである。

 ここは、昔からダム湖の水源池や浄水場の水源地には近づく事ができず、池に浮かぶ白い取水塔を遠くから眺めたり、その手前にある「水すだれ」と呼ばれる階段式溢流路を眺めることしかできなかった。

 現在8月に、実行委員会主催でライトアップされているこの「水すだれ」は、水管橋の上から見ることができる。しかし、当時はこの水管橋も立入禁止区域になっていたので、斜め法面の、生い茂る木立の間から溢流路をほんの少し眺める程度のものであった。

 小樽市としては、小樽水道の発祥地として可能な限り保存すると言っているので、今後の新たな展開に期待したいと思う。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2018年5月時点の情報に基づいたものです。