hokkaiya

hokkaiya は中央市場の中にある雑貨屋である。今年の10月で5周年を迎えた。

 

私はこのような雑貨屋があることを、去年の春頃、知人から聞いて初めて知った。

知人が履いていたhokkaiyaで買ったという靴下や服、アクセサリーなどからは、とても市場の中にあるお店とは想像がつかなかった。

 

本当に市場にそのようなお店があるのか、半信半疑で行ってみると、5号線沿いから見て中央市場一番手前にhokkaiyaを見つけた。そこはとても市場の中にあるとは思えないほどの空間だった。

 

オーナーさんのお人柄はもちろん、置いてある商品が心惹かれる素敵なものばかりで、私はすっかりhokkaiya が気に入り、何度も足を運ぶこととなった。

 

初めの頃は、市場に来ていることを忘れさせる空間と思っていたのだが、何度か行くうちに、やはりそこは「市場の中にある雑貨屋さん」ということに気が付かされた。

 

市場内の他のお店の方が通りすがりに洋服を見に立ち寄ったり、近所の飲食店が混雑時に市場に食材が足りないからと買い出しに来て「今日は行列が出来ているの」などと話していたりする時もある。

 

先日、ここで自分の雑貨などを買い、さて、幼稚園から帰ってくる息子へのお土産はどうしようと思った時のことであった。hokkaiya に中央市場内のあるお店の方が来ていた。そこでなんとなくその方と話をしていくうちに、市場内に息子が好きそうなちょうどよいお土産が売っているとの情報を得た。早速私は市場内の違う棟にあるそのお店に行き、息子へのお土産を買った。

 

普通の雑貨屋では他のお客さんと世間話をすることのない私だが、ここでは初対面の人とも違和感なくこのようなやり取りをしているのが多いことに少々驚いた。

 

小樽でも大型店が増え、市場が次々と閉鎖されているのが最近特に目立つ。閉鎖の知らせを聞くと、なんとも言えない寂しい気持ちになる。

市場の対面販売が減ってきた今、小樽にはこのような人との繋がりを大切にした活気あるお店が必要なのではないかと考えさせられた。

私がここに何度も立ち寄る理由の一つに、市場が活気づいていた数十年前の小樽らしさを求めているということがあるのかもしれない。

そう、hokkaiyaはまさに「市場」の中に存在する、お洒落なだけではなく人との繋がりを大切にした温かみのある雑貨屋さんだった。

(hiroe)