CRU-Z(クルーズ)

 CR-Z(クルーズ)は稲穂3丁目の中央市場のそば、稲穂大通り沿いにあるライブハウスである。経営者の五十嵐進一・真樹夫妻は私の音楽仲間で、私たちのイベントでPAオペレーターをお願いする事も、ミュージシャンとして出演頂くことも多々ある間柄である。

 ここはおそらく大正年間に建てられたと思われる、桑原米穀店の石蔵を自身と仲間たちで改装し、平成15年(2003年)にオープンしている。大都市でも、ライブハウス運営はなかなか大変で、地方都市なら尚更であるのだが、小樽の軽音楽文化の下支えのため、昼間に生業を持ちながらこのライブハウスを運営している。

 アコースティック系の比較的静かなソロやバンドの場合は問題ないのであるが、いわゆる爆音系のハードロック、パンクロックと言われるバンドの出演に備え、近所迷惑にならないように、防音には十二分に注意している。手造り感満載の室内であるのだが、写真に写る入口ドアだけ以上に厚く立派なので、五十嵐さんに聞いたことがある。

 このドアは防音完備のドアでオーストラリアから購入したものということだった。他の音響・照明機材以外で一番高い買い物だったと言っていた。

 昼間仕事をしているので、週末中心のライブ開催となっているが、地元のバンドのみならず札幌を中心に道内各地、腕に覚えのあるオリジナルバンドが多数出演している。

 また、中央で活躍するミュージシャンも数多く出演している。私たちは、テレビや新聞で広告される大物アーティストのコンサート情報にしか目にいかないものであるが、テレビに昔出ていたり、過去ヒットを飛ばしたバンドのメンバーだったりが、このような比較的小さなライブハウスで全国津々浦々ライブツアーを行うことが多々あるのである。

 また、地元の高校生バンドにも廉価で会場貸しして、高校生バンドイベントにも積極的に協力している。ロックバンド活動というと昔不良の温床みたいな見られ方をしたので、大人として当たり前であるのだが、飲酒、喫煙に関しては、たとえ外であってもその行為を見つけた場合は、二度と入店させないなど厳しい規定を設けている。

 五十嵐さんは、自身も音楽が大好きなので身体の続く限り継続していきたいと言っている。小樽ならではの石蔵ライブハウスに、是非一度訪れてほしい。

(斎藤仁)