ロータリーの杜

ロータリーの杜は、小樽公園内忠魂碑の天狗山側の法面に生い茂る白樺林である。写真の看板は、平成30年(2018年)4月に開校する山手地区統合小学校側に、植樹当時から掲げられている。

ロータリーの杜とは、昭和38年(1963年)12月に創立30周年を迎えた国際奉仕団体で異業種の会社経営者親睦団体である、小樽ロータリークラブの記念事業として、翌年昭和39年(1964年)4月に700本の白樺が寄贈され、クラブメンバーにより植樹され、現在に至っているというわけである。

小樽ロータリークラブに所蔵されている当時の写真を拝見すると、忠魂碑の丘は現在の様に木々が生い茂る緑豊かな状態ではなく、いわゆるハゲ山状態だった。そこに環境保全と緑豊かな街づくりを目的に、記念植樹したというわけなのである。

このロータリーの杜の前には、小樽市指定歴史的建造物の坂牛邸がある。この坂牛邸に住んでいた坂牛弘志君と私は緑小学校の同級生で、昭和44-45年頃に坂牛邸やこのロータリーの杜で遊んでいた。

植樹後5-6年といった頃にあたるのだが、当時のおぼろげな記憶を、思い起こすと、白樺は植樹したての低木ではなくすでに数メートルの高さとなっていたが、いかにも若木という感じで写真の現在よりも幹はまだまだ細かった。

その坂牛弘志君が、この白樺はお祖父さんたちが植えたと当時から言っていたのだが、その時は記念植樹の意義が解らず、なんのこっちゃと思っていたのだ。

後にそのお祖父さんである坂牛直太郎氏も小樽ロータリークラブの会長も経験されたメンバーであったことを知り、半世紀以上も前に昨今盛んに言われる、環境問題を先駆けて行動していた事を知るのである。

植樹の後年、グラウンド内に総合体育館が建設され、このロータリーの杜の周りにジョギング、サイクリングコースが作られ市民の憩いの場となっているのはご存じの通り。

余談だが、昭和40年代の中体連小樽地区大会ノルディックスキー距離競技は、このロータリーの杜周りで行われていた。小樽市内各中学校から、たくさんの選手が参加していた時代の話しである。

(斎藤仁)