みどりの里
長橋の山の上、桜陽高校のさらに上に、国立療養所小樽病院があったのをご存じだろうか。私がそれを知ったのは、小学校の社会科副読本「おたるのあゆみ」でであった。本の正確な名前に自信はないが、それは小樽の歴史、地理を網羅した教材で、私にとってはどの教科書より、確実に興味を持てたものだった。
それの巻頭市内地図に国立療養所の記載があった。なにしろその地図に病院の表記は、小樽病院(現市立病院)、協会病院とこの国立療養所くらいしか無く、総合病院として代表的な北生病院、掖済会病院の表記さえなかった。まあ、小学校の中学年だとこの程度の情報量でよいということだったのだろう。
国立療養所とは、結核治療専門の病院であると、当時の担任は教えてくれたのだが、半世紀近く前の昭和40年代でも、結核が恐ろしい病だと知識として知ってはいたのだが、ツベルクリン反応が小さいとBCGを打たれる位の知識しかなく、入院して療養するなどまったく現実味のない感じがしていた。
この国療が2002年(平成14年)、北生病院で小樽に馴染みのある、北海道済生会に統合され済生会西小樽病院となった。ちなみにそれと同時に北生病院は済生会小樽病院と名称変更されている。
その西小樽病院開院とともに、重症心身障害児(者)施設「みどりの里」が併設された。入所者の年齢、程度等細かな違いはあるのだが、桜町のさくら学園、和光学園、四ツ葉学園、銭函地区の大倉山学院、松泉学院等と同じような施設と考えていただきたい。
さて、この「みどりの里」が毎年8月に、職員、入所者家族が一体となって地域に開かれた「なでしこ祭り」という夏祭りを開催している。焼きそば、たい焼き、焼き鳥、ジュース等の模擬店が出店し、50-100円という廉価で販売されている。
2016年のお祭りは、晴天の8月6日土曜日に開催され、私のザ・パーティーズも「どこでも移動動物園」「ゆるキャラ運がっぱ」共々ステージアトラクションに招待された。
近隣地域の方々と共に、車いすやストレッチャーを家族や職員に押されて入所者も、ステージ周りに集まり、リズムに合わせて身体を揺らしたり歓声を上げたりと、パーティーズの演奏するアップテンポの曲の数々に大いに楽しんでもらっていた。
相模原で忌まわしい事件が記憶にあったので、「Stand By Me」を演奏している中、その意味(私を支えて・・・)を思い目頭が熱くなってしまった・・・。多様性の時代、いろいろな人たちがいるという事を、改めて実感させていただいた一日だった。
(斎藤仁)