十間坂

 十間坂は、手宮にある幅10間(18m)の広い坂である。この坂と手宮仲通りを通り越し、桜陽通りまでを十間通りと呼び、その先梅ヶ枝方面へのバス通りまでを能島通りと呼んでいる。この十間坂のある小高い丘を、地主の名前を取り荒巻山と呼び、それに続く長橋方面の丘を手宮富士と呼んでいる。

 手宮富士に関しては、以前に書かせていただいたのだが、そのコラムを読んでいただいた手宮の読者から、手宮側からこの手宮富士を望むと富士山のように見えると教えていただいた・・・。

 さて、十間坂のある荒巻山の向こう側は、少し左に曲がるが稲穂第一大通りに続く。明治年間から、この荒巻山を開削して稲穂、色内方面にまっすぐ通じる道路、はたまたトンネルを作るという計画が、幾度となく区(市)議会に提案されては消えての繰り返しで、今に至るということだ。

 ここが開削され、切り割りかトンネルにでもなっていたら、十間坂は無くなっていたということなのだが・・・。

 ちなみにこの荒巻山の尾根は、本当は海まで伸びていて、現在この十間坂から150mほど海岸寄りのバス通りはその尾根を開削して造られているので、荒巻山開削もまんざら非現実的な話しでもなかったようだ。

 さてこの十間坂をバックに十間通りで、毎年6月に煤田山の上にある小樽稲荷神社の例大祭である手宮祭りが開催される。また、8月末には平成23年(2011年)までいか電祭りが開催されていた。

 いか電祭りに関しては、当初の街づくりコンセプトは達成されたという事で、22回をもって終了したのであるが、翌年から手宮市場の若手商店主を中心に、手宮ビアガーデンが後継として開催され、今なお多くの市民が集い、小樽の短い夏を満喫している。

(斎藤仁)