江差追分歌碑

 北海道を代表する民謡、江差追分の歌碑が祝津パノラマ展望台にある。小樽所縁の本唄の歌詞「忍路 高島 およびもないが せめて 歌棄 磯谷まで」が刻まれている。

 この歌碑は、昭和28年(1953年)8月1日、小樽観光協会と、小樽追分節連合会が北海道内の会員に協力を仰ぎ建立したものだ。高さ7m、幅2mの仙台石でできている。

 この歌詞の意味には諸説あるのだが、一般的に知られているのが、神威岬以北和人の女人禁制だった元禄から安政の165年間、忍路、高島に出稼ぎに出る男衆を、せめて禁制ではない歌棄、磯谷までは見送りたいという女心を歌ったものというのと、鰊網元の西川家の繁栄を羨んだもの、忍路、高島ほどの石高はなくとも、歌棄、磯谷くらい稼げるといい、という二つの説が有力と言われている。

 江差追分はソーラン節、北海盆歌と共に、北海道を代表する民謡の一つである。誰でも一度は聞いたことがあると思うが、ソーラン節、北海盆歌ほど歌詞は覚えられていないのが実情だ。

 江差追分の特徴は、短い歌詞を約3分弱の時間をかけて、伸ばしたり縮めたりしながら歌うという、いわゆる「こぶし回し」が顕著な民謡である。

 毎年、道南の江差町で昭和38年(1963年)から全国大会が開かれている。小樽の民謡界からも3名の全国大会優勝者を輩出している。昭和44年(1969年)第7回大会の杉野忠勝師範、平成21年(2009年)第47回大会の日和義貴師範、少年の部では平成16年(2004年)第8回大会の木内絵里さんである。

 平成21年(2009年)優勝の日和義貴さんは今年、平成28年(2016年)演歌歌手「日和よし貴」として、デビュー曲「羽幌港(はぼろこう)」で全国デビューを果たしている。ちなみに日和師範が優勝した大会の第4位に入賞したのが、札幌の黒森このみさん。現在、細川たかしの弟子として、テレビ、ラジオにも度々登場する演歌歌手「杜このみ」さんである。

 日和よし貴さんには今年の第29回銭函文化祭に特別ゲストとして出演いただいた。江差追分で鍛えた歌声は一級品である。小樽出身演歌歌手として、全国で知られる存在になり、末はNHK紅白歌合戦にでも出場して欲しいと願っている!!!

(斎藤仁)