遠藤商店

 豊川町の桜陽通り中ほどに遠藤商店はある。昔ながらの米・酒屋然としている。ここが、平成28年(2016年)に創業110年を迎えた。

 小規模小売店が、創業100年を超えるというのは、並大抵の努力では済まされないと思う。なにしろ、何を売っても売れる創業の時代から、戦争があり、戦後の混乱期、小樽の基幹産業の衰退と、時の流れに翻弄されながら、渡りきってきたわけであるのだから・・・。

 現社長の四代目遠藤友紀雄氏は、私の潮陵高校、北海学園大学と後輩で、小樽青年会議所でもご一緒させていただいた。現在、彼は小樽ロータリークラブ、私は小樽南ロータリークラブと同じロータリアン(ロータリークラブメンバーをこう呼ぶ)として、些少ながらボランティア活動や市民運動をしている。また地元のPTA会長や各種団体の理事、役員等も務めている、手宮地区の名士である。

 友紀雄氏は、閉校となった手宮西小でサッカー少年団、高校で本格的に陸上、大学でアメフット(道選抜)、青年会議所では遊びだが真剣にサッカー、ロータリークラブではやったことにない野球に挑戦と、齢50を優に過ぎても、常に身体を動かしているのが好きなスポーツマンだ。ちなみに長男の慎一良君も同じ大学でアメフットをやっているという事だ。血は争えない・・・。

 大型店舗、安売り量販店の台頭で、家族・小規模経営の小売店が、業種を問わず苦戦しているのはご存じの通りだ。商店街の空き店舗や解体されて更地になり、駐車場になっているところや風景も、普通に感じられるようになったこの頃である。

 そんな中、遠藤商店は北後志産ワインの直接販売、信頼している農家からの直送米の販売と、独自路線で生き残りを図っている。また近年はネット通販でも評判の名店として、全国津々浦々からの注文があるとの事だ。

 聞くと、先代の頃から販売免許に胡坐を掻いているような米、酒、たばこ販売の業界体質に危機感を抱いていたと言う。これらの商品が許可制、登録制になると、小売店はどんどん厳しくなっていくと、半世紀も前から思っていたと言う。

 8月末に運河公園で開催する「~夏の終わりの~北運河サウンドエナジー」にも設立からお手伝いいただき、地産商品を販売するコーナーで、北後志産ワインを売っていただいた。それが大変な人気で、びっくりした思い出がある。

 余談だが、道路から見えない店舗裏にちょっとおしゃれな倉庫がある。前述ワイン、玄米等を貯蔵するためのものであるのだが、小樽の歴史的建造物の再生、活用をコンセプトに立ち上がったNPO法人小樽ワークス理事長で一級建築士の遠藤謙一良氏の設計である。謙一良氏は私の高校の同級生で、友紀雄氏の兄でもある。

 遠藤商店では、そこを利用したワインのガレージセールや、その前でのワインガーデンなど地域密着イベントも開催している。

(斎藤仁)