名もなき思い出の坂

 小樽は坂が多い。札幌の友達に大学に自転車置き場がないことを言うと、とても驚かれる。しかし、自転車ではあっという間に通り過ぎてしまう道にも、歩くことでたくさん発見できることがある。そこで今回、坂で見つけた魅力を紹介したい。

 私が好きな坂は、3年間部活で通った小樽公園の横にある名もなき坂だ。春夏秋冬それぞれの季節で、道端の素敵な景色を楽しむことができる。

 春には雪解けが進み、地面が出てくると、フキノトウが顔を出す。そしてフキノトウが花を咲かせる頃には、つくしが芽を出し始める。こうして春の訪れをほのぼのと感じられる。つくしが終わり、スギナが道に広がるころに顔を上げると、桜のつぼみが膨らんでピンクに色づき始める。これが満開に咲くと、坂の途中で止まって写真を撮る1年生を毎年見かけるのが微笑ましい。

 初夏、ニセアカシアの強い甘い香りの中、セミの鳴き声が響き渡り、青々と茂った木々の下を歩く。この時期には時折、キアゲハやカラスアゲハなどのチョウを見かけて、今日はいいことがあるかな、なんて思いながら坂を上る。

 長い夏休みが終わり、秋になると街路樹の紅葉やプラタナスが色づき始める。木の種類によって黄色や赤、オレンジなど色は様々だ。秋の半ばになりこれが散って地面に落ちると、カラフルな星が道いっぱいに散りばめられているような、美しい光景が見られる。私が小樽の坂で見る中で最も好きな景色だ。雨の日でも楽しくなる。

 やがて雨は冷たくなり、厳しい冬がやってくる。雪の多い小樽で一見、単調に見える雪景色の中でも楽しみがある。すっかり葉が散ってしまった木を見ると、そこで休憩する野鳥が見つけられる。ふくらすずめやヒヨドリ、運がいいとゴジュウカラやアカゲラに会うことができる。葉が散って枝が良く見えるので野鳥を発見しやすい。

 このようにこの坂では春夏秋冬様々な発見ができる。季節の素敵な発見に、この坂を登ってみてはどうでしょうか。

(ななみ)