小林多喜二文学碑

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 小林多喜二文学碑をはじめて観たのはいつだったのだろうか???
 昭和41年(1966年)に美唄から引っ越してきて、旭展望台観光道路入口に家があったので、その年には観ているかもしれないが・・・。

 この文学碑は昭和40年(1965年)に、旭展望台駐車場に建立されている。北海道出身で著名な彫刻家本郷新の設計で、本の見開きをかたどったもの。小樽市内にある銅像、石碑、歌碑、文学碑等の中で最大級のものである。

 写真の左側に青年労働者の頭像があり、子どもの頃はこれが多喜二のデスマスクだと思っていた・・・。

 最初に家族でこの文学碑を観に行った時に、姉が私にこう教えてくれたのだ。

 「上が多喜二の普段の顔よ。そしてこれが死んだ時の顔、こんなに腫れてまるで別人でしょ、すごい拷問だったのよ!!!」
 「へぇー、そうなんだ・・・」

 自信満々で説明する姉に、何の疑いも持たずずっとそう信じていたのだ。

 月日は流れ、姉の身長をはるかに追い越し、少しずつだが姉にも偉そうなことが言えるようになってきた中学生の頃、この頭像が多喜二ではなく別人のものと知ることになった。

 そのことを姉に問いただすと、私はそんなことは言っていない、の一点張り!!!・・・。まあ、姉弟間のどうでもいい話しではあるのだが・・・。

 近年、多喜二の名作「蟹工船」がブームとなった。当時の過酷な労働環境を描写した作品が、現在の格差社会や派遣切り、ブラック企業に通じるということだった。ただ、「蟹工船」を読んだ方ならよくわかると思うが、当時の過酷な労働は、現代の比にはならないほどひどいものだったようだ!!!

 来年(2017年)1月に、三浦綾子原作で多喜二の母セキを描いた映画「母」が公開される。もんぺが日本一似合う女優といわれる、寺島しのぶが主演である。観に行こうと思う。

(斎藤仁)