手宮富士

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写真は富岡跨線橋(小樽警察署付近)から撮った手宮富士である。標高140m。山というよりは小高い丘という感じ。かなり上まで住宅街が延びている。ご覧のように人工的に切り崩されている感じがあるので、形はかなり変わっているかもしれない。この手宮富士、誰がいつ名づけたのだろうか・・・。

手宮富士という山の名前をはじめて知ったのは、小学校中学年の社会科副読本「おたるのあゆみ」???(何度かこの副読本を書かせていただいたが正式な名前の記憶はあいまいである・・・)であった。その中の地図に小樽の主要な山が記載されていた。天狗山、毛無山、赤岩、そしてこの手宮富士・・・。

街から赤岩方面を見ると、鉄塔の林立している赤岩山を赤岩、隣りの山(下赤岩山)が、富士山のように見えなくもなかったので、それが手宮富士だと子どもの頃はずっと思っていた。

高校に入学して石山中出身のクラスメートが自己紹介で、自宅は手宮富士の8合目にあります、と言ったのだ。
おいおい手宮富士の8合目だって???
手宮富士の8合目に人住めないべ・・・、何か違うな・・・???
手宮富士って今まで勘違いしていたのか・・・???
そこで初めて、色内小学校や石山中学校のある小高い丘が手宮富士だと理解したのだった。

全国各地に郷土富士は存在するが、北海道ではなんといっても蝦夷富士こと羊蹄山、利尻富士こと利尻山が深田久弥の日本百名山に名を連ね、北海道の観光ガイドブックにも必ず登場してくる。

それからすると手宮富士はどうかというと・・・なんともなあ・・・という感じである。どこから眺めたら富士山のように見えるのだろうか???

国道の稲北交差点からまっすぐ進む色内小学校の坂、そして手宮側に下りる浄応寺の坂は手宮方面への近道なので、手宮富士は頻繁に利用させてもらっている。

先日、このコラムを書くに当たり妙齢の女性三名に手宮富士を聞いてみた。なんと三名ともに手宮富士の存在さえ知らなかったのである・・・。全員小樽出身、70-80年間小樽に住んでいるのにである・・・。

手宮富士は煤田山同様、局地的に知られている山なのだと改めて認識したのだった・・・。

(斎藤仁)