えびす屋小樽

ebisuya

 小樽運河の浅草橋、中央橋の街園で、人力車が客待ちをしている姿をご覧になっている方も多いと思う。また、この界隈色内大通りや臨港線でお客さんを乗せた人力車とすれ違った方も多いのではないか。

 この人力車はえびす屋小樽といい、京都嵐山に本社を置く観光人力車会社の小樽支店である。写真にも写っているが、小樽に来て13年になる。

 私は小樽での設立当初、冬もある北海道で人力車に乗る観光客が、いるものなのかと思っていたが、継続している現状を見るとさもありなんと思っている。

 私も2度ほどえびす屋さんの人力車に乗ったことがある。残念ながら小樽ではないのだが・・・。京都に行った時に東山と嵐山でそれぞれ乗車させてもらった。

 今年4月の嵐山では、会話の中で小樽から来たのだと言うと、とても喜び、小樽に勤務していた2年間の思い出話を交えながらの、観光ガイドとなった。

 聞きかじりだが、えびす屋さんは、全国9か所の観光地にあり、200名余りの俥夫(しゃふ)を抱えているそうだ。地元京都出身の彼は、子どもの頃から俥夫に憧れ、高校卒業後すぐに新卒入社したそうだ。そう京都では憧れの職業の一つのようだ!!!

 通常小樽は10名ほどの俥夫が常駐しているが、夏の繁忙期は20名位に増えるそうだ。ちなみに阪急嵐山駅のホームのベンチが、人力車を模している嵐山は常時80名以上の俥夫がいるという。観光客の入り込み数が桁違いの国際観光都市京都とは、比較するのもおこがましいが・・・。

 小樽は本当にいい街でした。人は温かいし、食べ物は美味しいしそしてなにより安い。さらにこうも言っていた。
 「嵐山はご覧の通り、人力車待ちのお客さんがいます。でも、小樽ではなかなか乗っていただけない。何人にも断られる中、乗っていただけるお客さんに出会えると、すごくありがたいし、やっぱり、小樽の良さを一生懸命わかっていただこうと、頑張ってしまうんですよね。京都では味わえなかった苦労ですけど、とってもいい経験になりました」

 ほとんど歩いている人のいない早朝、愛犬の散歩に色内大通りを歩いていると、日に焼けたイケメンの俥夫が、腹掛けに股ひき姿で、ほうきとちり取りを持って毎日清掃活動をしているのに出くわす。そんな姿は、朝の清々しさを倍増させてくれる。

(斎藤仁)