青塚食堂

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魚の串焼き。
小さい頃に漫画やアニメ、小説で見てきた空想のような食べ物。
それがここにはこれ見よがしに並んでいる。

「青塚食堂」

ここは小樽駅や小樽運河から車で10分程度。
駅前からバスに乗って20分。
小樽運河周辺を観光に来たのなら、
少し遠い位置にあるのかもしれない。
しかしここにはお昼時には溢れんばかりの観光客が訪れている。

 

小樽駅から少し離れて小樽水族館。
小高い山の中腹にあるような立地だ。
そのふもと。
そんな位置に青塚食堂はある。

水族館帰りの観光客は、
一通り魚たちを見終えた後に出口から出ると、
おそらく眼下に広がる海に好奇心をそそられるだろう。

海の近くまで行くと、
港に係留される漁船や磯の香り、
岸壁へ張り付くウニやヒトデが間近に感じられる。

そんな海への道中、
海への好奇心とはまた別にそそられるものがある。
串焼きの魚たちだ。
今の子どもたちならば海賊漫画のONEPIECEを想像したり、
人によってはジブリアニメや日本昔ばなしに登場する古民家の囲炉裏などが思い返されるだろう。

私も小さい頃、
家族と水族館に遊びに来た。
幼いながらもイルカやアザラシのショーへ感動を覚えたのと同時に、
水族館帰りの道中に串焼きの魚にもとても感動していた。
当時は両親へ「食べてみたい!」などと駄々をこねていた。
しかし子供の味覚には適さないと見抜いた両親は買い与えてはくれなかった。
感覚が成熟してきた今この串を食べてみると、
たしかに炭火で焼いた新鮮なニシンということもあり美味しいが、
ニシンは骨も多く子どもが好き放題かぶり付くようなものではないような気もする。
そういう意味では見た目のみの思い出でもよかったのかもしれない。

もちろん、青塚食堂を目当てに訪れる人々は決してこれだけではない。
新鮮な海産物による様々な丼ものやお刺身。
なかでも花魚丼と呼ばれるほっけの蒲焼が乗った丼は、
個人的には最も好きでよく食べていた。
小樽に訪れた際には決してはずすことのできない名店である。

(Y)