いつもの店

marejiae_nao

マルジェナオ。みんな揃ってその店をマルジェと呼ぶ。
小樽駅から徒歩10分ほどある建物の2階にその店はある。

18時から近くの店でサークルの打ち上げ。2時間飲み放題が終わり店を後にしなければならない。みんな酔っ払ってテンションも上がっている帰りたくない、動きたくないという声が聞こえてきそうだ。そんな中で幹事の言葉がとぶ。もう解散です。マルジェに移動してくださいと。

そう、マルジェは二次会に行くに定番になっているのだ。二次会といえばマルジェ。そんな方程式が成り立つくらい浸透しているしそれが当たり前なのだ。みんなぞろぞろマルジェに向かって歩き出す。

まっすぐ足早に向かうもの。ちんたら歩いて向かうもの。途中でコンビニによりアイスを買って行くもの。様々である。酔っ払っていてもマルジェまでの道のりは覚えている。もう体が覚えているのだ。そして20時半ごろにマルジェへと到着。中に入ると別の集団客もいた。会社の帰りに飲みに来たのだろうか。とても楽しそうである。

そこに店のおばさんが声をかけてきた。はい、いらっしゃい、待ってたよと。マルジェの大きな魅力はこのおばさんである。話を聞いて欲しい時に話せばなんでも聞いてくれるし、人生の大先輩であるから色々なことを話してくれる。

学校の勉強のこと、サークルのこと、恋愛のこと、はたまたバイトのこと、この人にはなんでも話せる。マルジェに来てみんなとは話さずカウンターに座ってずっとおばさんと話し込んでいる人もよく見かける。それくらい皆話したいがためにこの店に来るのだ。

逆にカウンターとは別の方に目を向けると大きいテーブルの周りのソファにたくさんの人たちが座っている。酒を飲みながら会話したり、グラス片手に違うテーブルに移動したり、カラオケで歌を歌ってみんなで盛り上がったり、眠くなって寝ている人もいたりみんなそれぞれ自由にこの場所での時間を過ごしているのだ。

しかし楽しい時間はあっという間だ。終電が迫ってきていた。札通の人は帰る準備をし、おばさんに挨拶をして皆帰っていく。残ったのは小樽住みの人とそこに泊まっていく人たちだ。彼らは少し静かになったその場所でこれからさらに夜遅くまで語り合うのだろう…。
マルジェはそんな場所である。

(しみ)