稲穂橋

inaho_bashi

 稲穂橋は稲穂小学校前から、まっすぐ国道5号線に抜ける歩道専用跨線橋である。橋の山側たもとにある工事完成標識には、昭和三十年十二月竣工、施工阿部建設株式会社と記載されている。築60年ということになるが、現在の橋は2代目で、昭和39年(1964年)花園町の国鉄高架工事に合わせて架けられたものだそうだ。どちらにしても築50年は超えている。

 ちなみに、施工した阿部建設は、現在緑第一大通りの入口、拓銀緑支店跡にあるのだが、昔はこの橋のすぐそば稲穂小学校の向かい側にあった。そこにあった元社屋は解体され駐車場になっているが、そこを私はお借りしている。

 毎朝、ここに車を停め、小樽警察署側の富岡跨線橋を下り職場に向かうのだが、毎日跨線橋から、稲穂橋側をなんとなくチラ見をするのだが、稲穂橋を通ることはほとんどない。また、登下校の児童が通るのもあまり見たことがない・・・。 

  

 ある日の愛犬との散歩の時に、いつもチラ見の稲穂橋を渡ってみた。古い鉄道建造物によくある、‘使わなくなった線路’を鉄骨材に使っていた。小樽駅ホームの支柱も同様である。
 歩道橋であるので道幅は狭く、頭上にも何メートルかおきに、元線路が渡されているので圧迫感があり、安全ではあるのだろうが渡りやすいとは言い難い橋である。

 山側、海側に階段があり、施工された昭和39年(1964年)には、小樽最初のロードヒーティングが入った所として有名だったが、壊れてしまって回復不能なのか、今は人力で除雪されているようだ。冬、山側から海側に渡ったことがあったのだが、なかなかリスキーでスリル満点であった。

 下りの海側は23段の階段があり、途中踊り場もなく、万が一こけてしまうと、下までまっさかさま!!! 

  

 昭和の腕白小僧のような、元気な子供たちには、楽しくもってこいの環境だが、実年おじさん、おばさんにとっては、転んで捻挫、骨折でもしたらと考えると、冬期間に関しては、たとえ近道でも、回って富岡跨線橋を通ることをお勧めする。ただ、この稲穂橋は、まわりの風景にとても溶け込んでいる点は付け加えておく。

(斎藤仁)