坂のある風景

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 小樽市は坂の街と言ってもいいほどたくさんの坂ばかりある。その坂の中のいくつかには名前が付けられているのはご存じだろうか。知られているなかでは、やはり「地獄坂」が有名だろうか。

 名前の付けられている坂の一つに「職人坂」という坂がある。この坂は寿司屋通りにあるローソンから運河側に向かって一つ目の信号を右に曲がったところにある。昔この通りは料亭の並ぶ花街で1年中にぎわっていたそうで、そこに仏壇屋、彫り師など様々な職人が仕事場を構えたことが由来し「職人坂」と名がついたそうだ。

 実際に歩いてみると上り坂と下り坂があわさっており、寿司屋通り側から入ると上りは緩やかだが、下りが少し急になっている。今は住宅街となってしまっていて、中には仏壇屋の看板などがあったが、昔は活気あふれるところだったという情報とは裏腹に、その面影は全然見えなかった。

 「職人坂」は小樽市内の山田町にある。小樽の町名にはそれぞれ由来があり、アイヌ語が由来のものなど様々な由来のものがあるが、山田町は小樽市内で唯一人の名前が由来の町名だそうだ。当時交通に不便を感じていた住民のために山田吉兵衛(やまだきちべえ)が自身の所有地を使って道を作り、移動を楽にしたことから山田町と名付けられたらしい。

 現在小樽の職人と言えば、ガラス職人や寿司職人が観光通で見かけることが多く、真っ先に思いつくのではないだろうか。特にガラスは製作体験ができることで有名だろう。
 そのきっかけを作りだしたのが職人坂に集まった過去の職人たちであり、その技術が今も生き続けているのだ。

 今現在も、金型や木彫りなどの様々な職人たちは伝統の技術を絶やさないように、伝えつづけるための活動もしているらしい。
 この活動は大量生産大量消費の現代では困難なことなのかなと思う。でもこの通りの存在を知って歩いてみて、見たことのない昔の職人通りの活気あふれる感じを見てみたいと思った。

(岩)