寒い日の商大からの景色

jigokuzaka

三年前、商大の入試を受けに来た。
とにかく寒かった気がする。
でもバスは人がいっぱいだから歩いて帰ろうかな、と思った。

まだ高校生だった私は、小樽の冬道をなめていた。
とにかくつるつるで、しかも坂しかない。それに加えて、その日履いていたのは底がすり減ってつるつるのブーツだった。
当然のごとく、何度も転んだ。「入試で転ぶなんて、どんだけ縁起が悪いんだ」と今になってそう思うが、その時はとにかく歩くのに必死だった。
一人で歩いていた私の周りには、同じように入試を終えた学生がたくさん坂を下っていた。正直、一人で転んでは立ち上がり、を繰り返していたのでとても恥ずかしかったのを覚えている。

「すごい滑りますよね」
何度か転ぶのを見ていたのか、知らない女の子が話しかけてくれた。
「ほんとですよね、私、何回も転びました(笑)」

その子も、私と同じく商大の入試を終えて一人で歩いて帰るところだった。
妙に親近感がわいて、とてもうれしかった。
試験の問題の話、高校の話、住んでいる場所の話、そして、お互い合格できたらいいね、というような話をした。
こんなところで友達ができるとは思っていなかったので、とても印象的な出来事だった。

そして春になって、私は商大に入学することができた。
心のどこかで、「あの子、合格したかな」と思っていたが、なかなか見つけられずにいたので、「落ちちゃったのか・・」と残念に思っていた。

入学式から何日か経ったころ、部活の見学に行ったところでその子に再会した。
そこで正式に友達になった。

こんな出会いもあるのか、と少し感激した。

商大から町を見下ろすと、その日のことを思い出す。そして、初心を少し思い出す。
天気が良くて、きれいに海が見える日も好きだが、ちょっと雪が降っていて、寒い日のこの景色は少し特別である。

(玖)