丸岡

maruoka

 小樽で小中学校を過ごしたものにとって、産業会館裏、静屋通りにある丸岡のバッチ屋と言えば、無くした学校バッチを買いに行く唯一の店で、知らない子供はいなかった。もちろん子供だけではなく大人もだが・・・。

 社長の丸岡裕幸氏は私の潮陵高校の同級生で、40年来のお付き合いをさせていただいていることになる。お互い犬を飼っているということもあり、朝の散歩で鉢合わせすることもしばしばだ。

「おー、じん・・・」
「おー、まる・・・」
「お互い大変だな・・・」
と暗に尻に敷かれている感を出しながら、立ち止まって話すでもない関係を継続している。

 さて、話しはお店に戻り、当時は「丸岡徽章店」と言っていたが、丸岡氏が神奈川大学3年修了時で4年分の単位を取得したことにより、予定通り余った1年間で、お祭りの本場、東京浅草で提灯文字、いわゆる江戸文字の修行をしてきたのだと教えてくれた。

 卒業後、Uターンしてから半纏、手拭、足袋、提灯などのお祭りグッズも扱うようになり店名も「丸岡」と変わり、現在の店構えになっていった。ちなみに今も学校バッチを扱う後志管内唯一の店と聞いている。

 我が家、教室にも彼に作成していただいた提灯がいくつか飾られている。結婚祝にいただいた丸に梅鉢の家紋の下に「斎藤家」と書かれた物。小樽青年会議所卒業時にいただいたJCIマークの下に「斎藤」と書かれた物。小樽ボールルームダンス連盟で潮ねりこみ用に作った教室名をもじり「斎藤組」と書いてもらったものである。

 それぞれ20-30年の年月により乾燥などの経年劣化は激しいが、手づくりの良さが大いににじみ出ている。今や小樽を代表する職人の一人ということになるが、歴史とロマンの街小樽に大変似合うお店のひとつである。

(斎藤仁)