神秘の世界への入り口
初めてここを訪れたのは大学2年の初夏。次が大学2年の秋。今回は3度目の訪問でした。
大学の先輩から「面白い場所がある」と連れて行かれたその場所は、水天宮から続く有名な「外人坂」、の近くにあります。
水天宮近辺と言うと、私の家から歩くとそれなりの距離があって、心の休まる良い場所だとは思いつつも頻繁には行くことのない場所です。
今回初めて雪のある季節に訪れて、目的の建物を見つけた私の第一声は、
「埋まっている!!!!!」
この記事で紹介するのは、旧酒井別邸の蔵の跡地、いわゆる「廃墟」と呼ばれるような場所です。
おそらく公式な地図には載っておりません、悪しからず。
昔は傍に邸宅があって、人の出入りもあったようです。
今は家の方は取り壊されて、ツタに覆われ崩れかけた蔵があるのみとなっています。
冬に訪れたところ大方が雪で埋まってしまっていて、入口の外壁の上部しか見えない状況となっていました。
建物の存在を知らずたまたま近くを通った人は、目もくれず素通りしてしまうのではないでしょうか。
最初に訪れた時は、住宅街の中に突如現れた異空間に呆気に取られ、中に入らずじまいに。
と言いますのもこの場所、暖かい時期に来ると辺り一面が草、草、草。
軽装ではとても草木をかき分けてゆく気になりません。
ということで2度目の訪問は暑い時期を避け、汚れても構わない服装に虫除けスプレーをしっとりと染み込ませ挑みました。
トゲでひっきりなしに攻撃してくる植物と、奇妙な形をした虫たちに苦心しつつ建物内に入り、一息ついてから上を見上げると、そこには―――
建物内部の写真を載せるか載せないか、悩んだ挙句結局入口部分のみに留めておきました。
写真でお見せしてしまってはつまらないですもの。
この入口から足を踏み入れれば、神秘的な世界が待ち受けています。
時が経って屋根が抜け落ちたからこそ見える絶景を、是非自身の眼でご確認ください。
(善)