庄坊番屋
小樽公園通りに「庄坊番屋」というお寿司屋さんがある。お寿司屋さんというより、大衆和食居酒屋と言った方がわかりやすいかもしれない。
鉄筋コンクリート三階建て昭和26年(1951年)築の、元小樽消防本部建物を再利用しての店構えだ。
開店は昭和60年(1985年)秋。同じ花園2丁目の同じ通りの一番地違い、まさに同じ年、昭和60年春にダンススクールを私はオープンさせていたので、この店は工事の状況からよく覚えている。
昭和40年代から小樽市内に大箱のダンスホール、ディスコ、サウナ、スナック、ホテル等を経営していた、砂長谷一雄氏率いる、ゴールデンスターグループが手がけた最初の本格的和食店であった。
ガード下の「一心太助」、色内町の「魚真」と共に、安く盛りの良さで、札幌圏のリピーターを多く取り込んでいるということで、ニューウェーブの小樽のお店としてマスコミ等でよく取り上げられていたものだった。
開店当初より、美味しく新鮮なものを安く大量に食べようと、時間前によく行列ができていた。今年開店30周年を無事迎えている。
私も教室の近くということもあり、イベントの打ち上げ等でよく使わせてもらっていた。2階にはすべての襖を取り外すと、100名も入る大広間があり、そこで何度か100名規模の大宴会を開催したこともある。
現在は元ゴールデンスター社員の方が経営を引き継いでいるとうかがっている。
お店入り口横には、たくさんの芸能人のサイン色紙が出迎え、開店当初よりある豪快な磯舟の席。2階には消防署時代から使われていた大型金庫が、骨董品として飾られている。人気の「番屋サラダ」は海鮮サラダの走りで、野菜サラダに刺身が乗っていると、開店当初から大人気だった。
冬の朝、教室に出勤するのに店の前を通ると、誰よりも早く砂長谷さんがスコップ片手に雪かきしていた姿を思い出す。
(斎藤仁)