ニクいすてきステーキ
小樽といえば、寿司!海鮮丼!と海の幸ばかりがイメージされるが、それだけではない。まだまだ隠れざるグルメはあるはずなのである。私はそう言って日々友人と小樽の街を練り歩くのが習慣になっている。
先日駅前通りから一本入った通りを歩いていると小さなbarがあった。
こんもりと積もった雪の上に「Café baal」と書かれた看板が刺さっている。下にはなんと「ステーキ丼」と書いてある。お腹と背中がくっついてしまいそうな私と友人がその単語に惹かれて入店すると、イケメンのお兄さんが「いらっしゃい」ときさくに出迎えてくれた。席はカウンターだけで10席も無いが木目の壁が温かみを感じさせる内装だ。
ご注文は、と店主が聞くまえにすかさず「ステーキ丼ひとつ!」と注文。10分もかからず出てきたのは皿からあふれんばかりの肉、肉、肉。あまりの肉の迫力にごはんが見えないくらいである。一口食べると口のなかでとろける食感に言葉も出なかった。
思わずこの写真を撮ってしまうと、絶品ステーキ丼を生み出す店主はこういった「なあ姉ちゃんたち、はよ、TwitterかFacebook載せてな!」突然の関西弁に驚くと続けて「福岡から来とんねん、一度東京出たんやけどやっぱり都会の空気は合わなくて、地元と同じ雰囲気の小樽に店構えたんや」と語った。
小樽にお店を構える人はほとんどが店を訪れるたびに、まるで家族が帰ってきたかのように迎えてくれるのである。このような雰囲気を作り出しているのはお店の方だけではないと思う。常連になっていくお客さんもお店を愛し続けてきたことが大きい。私たちが夢中でステーキをほおばっている間に何組もお客さんが入店してきた。皆口をそろえて「いつものステーキ丼ね!」と勢いよく注文していく。
そのお客さんたちの気持ちは家に帰ってからわかった。あの味が脳に焼き付いて何日も離れないのである。
小樽の飲食店に行くとだいたいそうなる。私もまたこの店へ行き「いつものステーキ丼ね!」と頼むことになるのだろう。
(もえ)