亀十のパン

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 昔、旧双葉女子学園の定番腹ごしらえスポットと言えば、大宝のラーメンと亀十のパンと決まっていた・・・と往年の生徒から聞いたことがある。旧小樽病院前にあった、大宝ラーメン店は既に無くなっているが、国道5号線入船十字街を海側に下りて、生協小樽南店の交差点過ぎにある亀十のパン屋さんは、今なお健在である。

 前述双葉の生徒のみならず、なんと朝の4時から開店して多くの市民が列をなす。朝から道路の両側は、パンを買い求めるお客さんの車で、一杯になっている。

 懐かしいダイヤル式の赤電話が置いてある店内に入ると、ガラスケースの中、トレイにうず高く積まれた色々なパンがある。豆パン、ジャムパン、クリームパン系の菓子パンと焼きそばパン、スパゲティーパン、コロッケパンなどのコッペパンを使用した調理パン、惣菜パン、そして角食と言われる食パンに大別される。全部で60種類は優にあると思う。

 店内の装い、パンの味は、今流行のパンブティック、ベーカリーショップというよりは、昔ながらの昭和時代のパン屋さんといういでたちだ。

 菓子パンは100円代前半、調理・惣菜パンは200円代前半からという価格設定になっている。決して安くはないが、具材がパンからあふれる調理パンはボリューム満点だ。朝からお昼まで、途切れることなくお客さんは訪れる。

 近年、建て替えるのに数か月の間、店を閉め、改めて新築オープンした。新築後の人気も相変わらずで、昭和24年(1949年)からの創業というから、66年に渡り変わらぬ人気が続いているというのは、トレイにトングで好きなパンを選ぶ方式の、ベーカリー全盛の時代なのに驚きである。

 実は、私が行く時はたまにである。そんな時は、午後が多く、数少ない残り物をいろいろな詰め合わせで一袋にして、500円ほどで割引販売しているものを買ってくる。帰って家内とおやつ代わりに食べながら至福の時を過ごすのである。

(斎藤仁)