小樽駅前の高波

highwaves

朝の通勤時にちょっと遠回りをして小樽駅前から海の様子を見てみる。
遠くに見える第3号ふ頭は1キロ先、防波堤はさらに向こうで2キロ以上先。風が強い日には防波堤を北側から南側へ走って崩れる大きな波がしらが見える。
これは小樽市民にとってはよくある当り前な風景。通勤や通学に小樽駅を利用する人、買い物にやってくる人でも「ああ、今日は波が高いね」。
だが、小樽で生まれ育ってない私には、波が砕ける防波堤が駅前から見えるというのは見たこともない驚きの景色だった。

晴れた日に駅を出た途端、街の向こうに青い海と空、白い雲や遠くの山並みが見えるのも感動的だが、風が強い日でも海は自然の力強さを見せてくれる。
猛吹雪の日は海が見えないからといってがっかりすることはない。いつも見えている小樽港が白く霞んで見えないほどのホワイトアウトが体験できるのだから。
撮影中、カメラも自分も雪まみれになったら、小樽駅にすぐ避難できる。絶好の小樽港観察スポットだ。
海が荒れる日は防波堤に守られた小樽港に避難してくる船を見かけることもある。お正月には第3号ふ頭にフェリーが停泊していた。日々、色々な表情を見せてくれる駅前からの風景だ。

この波がしらの写真を見た小樽育ちの友人がつぶやいた。
「そういえば、昔は駅前からこんな波をいつも見ていたのを思い出したよ。今はビルが多くなって、随分雰囲気が変わったよね。」
ビルが立ち並ぶ前はどんな風景が広がっていたのかと、ふと想いを馳せてみる。

街の景色が変わっても、荒れる日本海から小樽の街を守っているのは1908年(明治41年)完成の北防波堤、100年の荒波に耐えて今も現役の防波堤だ。
駅前から見た北防波堤の写真撮影スポットは、小樽駅玄関を出てすぐ、春になると花が植え込まれるフラワーコンテナと階段の手すりの間の小さなスペース。
その場所からは道路の看板に邪魔されず、駅前から海までを見通すことができる。小樽駅に訪れた時には誰にでも撮れるこの写真撮影をぜひお試しいただきたい。

(まがら りか)