(旧)岡川薬局

former_okagawa_pharmacy

(旧)岡川薬局は、小樽在住で新進気鋭の建築家であり、映像作家の福島慶介さんが手がけた、新しい形の歴史的建造物活用事例、ビジネスモデルとなっている。

1階薬局だったところは「Cafe White」として活用され、調剤室が厨房となっている。2階奥住居部分はゲストハウス、下宿として使われている。

先日、遅いランチを食しに、初めてここに行ってきた。薬局の待合室が吹き抜けになっていて、テーブル席がいくつか用意されていた。厨房の上が2階回廊となっていて、若い女性たちが談笑していた。

靴を脱ぎ、2階に上がってみたかったが、次回のお楽しみということで、1階に腰を据え、美味しいコーヒーとスープカレーをいただいた。ちなみに、砂糖とミルクは、元薬局らしく細い試験管に入ってきた!!!

慶介さんは、2009年に若松地区のランドマークであった、この歴史的建造物を個人取得し、2010年4月から「(旧)岡川薬局プロジェクト」という新しい形のビジネスモデルをスタートさせた。

カフェは時間を細分化し、曜日ごとに貸し出し、ゲストハウスは、通常の宿泊とは別に、若者の長期滞在に対応するため、三度笠の股旅物に代表される一宿一飯の恩義よろしく、宿泊費の代わりに働くことで滞在できるワーキングステイという方法を取っている。これがうまく機能すれば、小樽の古い建物を守ることができると、慶介さんは言っていた。

このお話しを伺った時、私はなんと画期的な運営方法なのかと驚かされた。このような方法を、TPOにより、どんどん進化させて、志ある者が小樽の古い建物を再生し起業してくれたらと思ったのは私だけではないはずだ。

また、「処方箋ライヴ」と称し、札幌、小樽のアコースティク系インディーズのアーティストを集め、毎週土曜日に開催する企画ライブの会場としても使われている。そして、ここは彼らの憧れの会場にもなっているという。

(斎藤仁)