小樽駅とSL

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2000年から2002年にわたり、クリスマス期間のみ運行された
SLデンマークニッセ号。

運行最後の年、わたしは幸運にもこのSLに乗ることができた。

 

小樽駅とSL 

 

SLに乗るんだよ、と伝えられた時。
鉄道のことなど何ひとつ分からなかったが、
何となくわくわくしたのを覚えている。

そしてその日から、映像や写真でしか見たことのない
あの古めかしく大きな音を響かせて走る鉄道に乗れるときを心待ちにした。

 

 

ついにやってきたその日。

駅構内は写真を撮る人、家族を見送る人でごった返していた。

 

もうもうと黒煙を上げ入線する大きな車体。
一つひとつの部品の細やかな動き。
わたしははじめて見るSLに感動した。

 

そうこうしているうちに出発の時間が迫り、
父に見送られつつ、家族とともに汽車に乗り込んだ。

 

車内はわたしたちのような家族連れでにぎわっていた。

こどもたちはみんな目を輝かせて出発のときを待っていた。

 

18時16分、札幌出発。

SLは高らかに汽笛を鳴らし、ゆっくりと走り出した。

 

 

木造の車内には華やかなクリスマスの装飾が施され、
サンタクロース扮する駅員さんが出迎える。

今は珍しいだるまストーブは、こども心にもどこか懐かしさを感じさせた。

 

19時4分、小樽到着。
この写真はその時に撮影したものである。

 

小樽駅の外に出ると雪が降っていたのを覚えている。

あまりの寒さに涙がにじんだ。
瞳が潤んだためか、
振り返った小樽駅はぼんやりと浮かび上がるようだった。

 

街灯に照らされた運河、レトロな街並み。
つい先ほどまで札幌にいたのに、まるで別世界のようだった。

 

冬の小樽は綺麗だった。

 

 

(とりとま)