堺町通りから水天宮方面に上る「見晴らし坂」

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観光客で賑わう堺町通りを歩いていると、山側は崖のように切り立ち、その向こうは小高い丘になっています。

堺町通りをしばらく歩いていても、その山側に抜ける道が見当たらないのですが、途中に一本だけ、通りから山側へと入っていく道があるんですよね。

その場所は、現在は「小樽たけの寿司」の趣ある建物脇の小路で、堺町通りから見ると、その道はすぐに突き当たりになり右に曲がっているので、いったいその先はどうなっているのかと通りに入ってみると、その先は崖に沿って上る、細くかなり急な坂道となってます。

実は、この坂道には名前がついていて、「見晴らし坂」というんですよね。

その名前のとおり、坂を上っていくと、今は建物や木々にやや隠れてはいるのですが、小樽の街並と港を眺めることができるんです。

その昔は、坂の上には、海運業などで財をなした板谷宮吉の邸宅(現在も一部残存してます)や、金物商の名取高三郎の邸宅が建つなど、事業に成功した経済人の屋敷が建っていたことから、この見晴らし坂を「出世坂」と呼ぶ人もいるそうです。

堺町から見晴らし坂を上った辺りは東雲町になり、この坂道を上ってからしばらく進んで、左手に向かうと、旧寿原邸や水天宮へと通じています。また、よく場所が分かりにくいと言われる外人坂にも、ここから向かうことができますね。

ちなみに、堺町通りから水天宮方面へと直接向かうことができるのは、この見晴らし坂からのルートだけのようです。

この見晴らし坂ですが、雪の積もる冬期間中は、車両通行止めになるんですよね。
今回、実際に雪の多い時期に行ったのですが、この坂道を行き交う人が雪を踏み固めた、細い1本道ができていましたよ。

ということで、坂自体は短かなこの見晴らし坂ですが、昔から、人々がここを上り下りし、坂の上から小樽の街と港を眺めていたと思うと、この坂道も普段と違った風景に見えてくるかもしれませんね。

(参考:小樽市HP内 広報おたる連載「おたる坂まち散歩」「第41話 見晴らし坂(後編) 旧板谷邸と出世坂」より)

写真:小梅太郎の「小樽日記」

(小梅太郎)