電車から眺める海

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小樽といえば、「海」が思い浮かぶ人は多いのではないだろうか。
小樽の大学に通って4年が経つ。毎朝電車に乗って通学するときに、それは現れる。

海と言っても、ここで話題にするのは海の幸のことではなく(もちろん小樽には豊富な海の幸をいただけるお店がたくさんあるが)、海そのものだ。
通学のたびに毎日のように目にしていれば、当たり前の風景となってしまい、感動も薄れるのではないか?
私はそう思っていた。

しかし、その日小樽の海は新たな表情を見せてくれた。
いつものように眠い目をこすりながらぼーっと電車に揺られていると、何やら車内がざわざわとしている。携帯をかざしている人もいる。何事かと辺りをきょろきょろしてみると、銭函と朝里の間の海に、大きく虹がかかっていたのだ。
私はいそいでシャッターを切った。

街中で虹の出現を目撃することは少なくないが、林立するビルに阻まれてその全貌を見ることはできない場合がほとんどだ。
海の上には虹をさえぎるものはなにもなく、虹の姿のすべてをとらえることができた。アーチの端と端が海に沈んでいた。
海に虹がかかっている光景なんて、見るのは初めてだった。
少々レアかもしれないが、電車が海沿いを走る、小樽ならではの景色のひとつだ。

虹を見るとなんだかラッキーな気持ちになるとはよく言われることだ。
このとき私は、海とのコンビネーションでラッキーの二乗くらい縁起がよさそうだ、と感じた。
だんだんとうすくなり、しまいには消えてしまう。そんな儚さも悪くない。

札幌から小樽までは普通列車で50分、快速列車で30分を要する。すこし遠く感じて小樽へ行くことを躊躇している人も、天気のいい日には是非、電車で小樽に足を運んでみてほしい。窓の外を眺めていたら、あっという間にそこはもう小樽だ。

(もよう)