龍徳寺

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私の母校、小樽潮陵高校下に、小樽仏教会六十七寺院中、五寺院しかない一級寺院の一つ、安政4年(1857年)創建、海雲山曹洞宗龍徳寺がある。国道5号線に面し、小樽市街地入口にあたる場所にあるので、小樽の顔、ランドマークのような存在となっている。

亡父の葬儀を、ここの第二会館で執り行い、岳父の遺骨もここの納骨堂にお預けしている。私個人としても、大変馴染みの寺院である。

入船町に同じく一級寺院の量徳寺があり、子供の頃は、寺院名が一字違いということで、混同して区別が付かなかったことがあった。また、そういう経験をした読者の方も多いと思う。

高校2年の学校祭クラス出し物で、パロディー8mm映画を作成したが、ここの本堂前をお借りして撮影させていただいた。今考えると、ドキュメンタリーならともかく、パロディーに使ったというのだから、呆れ返るばかり、お恥ずかしい次第だ。寛大な龍徳寺に40年弱の時を超えて、改めて感謝、感謝。

この本堂は小樽市の歴史的建造物に指定されていて、創建当時の面影を今に伝えている。また、境内にある夫婦いちょうは、市の保存樹木に指定されている。

なんといっても、テレビ等マスコミによく登場するのが、昭和8年(1933年)に本堂に寄贈された日本一の巨大木魚だ。九州産の楠の一本彫りで作られた、直径1.3m、高さ1m、重さ330kg、簡単には動かせない代物だ。制作費は、当時のお金で約千円、この金額で家1件が建てられるほどだったというから驚きだ。

もちろん私も拝見したことはあるが、普段は布がかけられていて、ここぞという時にしか、登場してこない。龍徳寺の宝物(ほうぶつ)の一つかと思う。

余談だが、大分県竹中村(現大分市)出身の、フォーク歌手南こうせつ氏が、実家が同じ宗派の寺院という縁で、龍徳寺のために歌を作り、納骨堂への渡り廊下に、大きな額に朱文字で書かれた歌詞と、住職とこうせつ氏との写真が、一緒に飾られているのは、余り知られていないはずだ。

(斎藤仁)