飴屋六兵衛本舗

ameyarokubei

小樽運河のほど近く、裏通りを少し歩いたところにそのお店はありました。

飴屋六兵衛本舗

路地裏にあるこのお店は、大正時代から続く老舗だそう。
お店の前には小さな屋台。

以前来たときにはここにたくさんの飴が並んでいましたが、
この日は会社の玄関脇に置かれていました。

冬はいつもここに置いているのでしょうか。
目移りしているうちに聞き忘れてしまいました。

楽京飴、雪たん飴、甘酒飴…
スーパーやコンビニでは見られない飴が並びます。
どれも北海道のてんさい糖と小樽の水を使っているとのこと。

優しい味わいの飴はそぞろ歩きにはうってつけです。
こぢんまりとした屋台や素朴な包装も、
小樽のレトロな雰囲気に興をそえています。

こちらに来るお客さんは、散策中にたまたま見つけた観光客の方や
地元の方が多いようです。
人力車に乗ったお客さんも見えるようですが、
まさに知る人ぞ知る、隠れた名店と言えるでしょう。

裏通りにひっそりとたたずむ無人の屋台。
お店のまとう雰囲気そのものにも情緒が感じられました。

この日は迷った末にきなこ飴を購入。
帰り道、袋の中をのぞくと、色とりどりの飴が入っていました。
こちらのお店、ひとつかみほどのおまけをつけてくれるのです。

ほくほくしつつ家に帰り、さっそく母にすすめました。
飴をひとつ口に入れると、小さいころを思い出す、と嬉しそうに呟いていました。

人口の甘味料を使わないというこだわりをつらぬき、
守られ続けた素朴な味わい。
60年間変わらない製法。
飴の形が不ぞろいなのは一つ一つハサミで切ったから。

戦後の甘いものが少ない時代、地元の人々の安らぎになっていたのだろうな。
袋を裏返すと紹介文にはこうありました。

―――「お口の中で広がる甘い夢をお楽しみ下さい。 」

(とりとま)