どこまで小樽か

sumikawa_river

僕が子供の頃、「小樽ドリームビーチ」は「大浜海水浴場」と言われていた。
そして、札幌市内から札幌市営バスで直行することができた。
なので、札幌っ子である僕は「大浜海水浴場」は「札幌」だと思っていた。

それがいつからか「ここは小樽でぃ!」と主張すべく、「おたるドリームビーチ」と名前を変えた。
なので、今では誰もが大浜海岸は「小樽」だと思っているだろう。

だけど、どうも不思議だ。

小樽ドリームビーチと並行して走っている国道337号線は、「札幌」なのである。
つまり、海岸が「小樽」で、国道が「札幌」なのである。
ということは、海岸と国道の間に、これらと並行して境界線が走っているということだ。

一体そこはどこなのだろう。

調べてみた。

したっけなんと、国道と海岸線の間に「清川(すみかわ)」と呼ばれる小さな小さな川があった。
これぞ小樽と札幌の境界線である。

輝かしい小樽と巨大な札幌の境界線にしてはあまりにも地味である。

その「清川」、しばらく海岸線と国道の間を流れているが、やがて札幌から流れてくる「新川」と合流し、消えてしまう。
つまり、境界線と一緒だった「清川」は札幌から来た新川に飲み込まれてしまうのだ、

であれば、
「小樽、ここまで、無念!」
と考えるのが普通だろう。

しかし、怪物小樽は違う。
怪物小樽は、ここから本領を発揮するのだ。

「清川」と共に走ってきた境界線は、今度は清川を飲みこんだ新川を、何と札幌方面へ逆行していくのだ。

僕は地図を見ながら思った。
「がんばれ境界線!!」

そしてその境界線、今度はさっきまで「札幌」だった国道337号線を超え、再び海岸線と並行して石狩へと延びていくのだ!!

これがどういうことか、お分かりになるだろうか。

つまり、車を銭函から石狩へと走らせると、一旦「札幌」になるのだが、新川を超えて再び「小樽」になるのだ。
小樽の中心から遠ざかっていくのに、再び「小樽」になる。
これは実に不思議な感覚である。

そしてその境界線は、やがて石狩新港の中央埠頭にたどり着き、そこから海に向かって消えていく。

つまり、石狩新港の中央埠頭までが小樽なのだ。

天気が良いと、小樽の中心地から石狩湾の向こうの「石狩」が良く見える。
そしてその時、皆さんは
「おお、今日は石狩が良く見えるなあ」
と思っているハズである。
しかし、皆さん、あなたの視線によっては、そこは「小樽」なんですよ。
「おお、今日は小樽が良く見えるなあ」
と思わなければならないのだ。

小樽、恐るべし。

(写真はその清川です。清川の右側が小樽、左側が札幌になります。実はこの撮影、清川がなかなか見つからず、ちょっとしたアドベンチャーでした。)

(みょうてん)