忍路神社と小樽最古の津古丹稲荷神社
小樽の忍路(オショロ)といえば、知る人ぞ知るといった感じの美しい海を見ることのできるスポットで、忍路湾の静かな海は本当に綺麗なんですが、観光地ではないので、なかなか訪れる機会がない場所でもあります。
また、忍路漁港があるこの忍路地区は、古くからニシン漁で栄えた歴史のある地区でもあるのですが、実はここ忍路にはとても古い神社があるので、今回はその古い神社について、ちょっと調べてみました。
まず、忍路湾への一本道の途中に鳥居があり、その奥に見るからに古そうな神社が建っているのですが、これが「忍路神社」です。
その昔、忍路場所請負人・西川伝右衛門が漁業の守護として、江戸時代に創建したものだそうで、社殿は明治23年(1890年)に火事で一度焼失後、明治29年(1896年)に再建し、大正9年(1920年)に別の場所から現在地に移転されたとのことで、歴史がありますね。
しかし、実はこの忍路神社の左奥には、もうひとつ、色あせた朱塗りの小さな社殿が静かに建っているんです。
この建物は「津古丹稲荷神社本殿」といって、なんと嘉永2年(1849年)の創建で、これが小樽に現存する最古の建造物とされているそうです。
よく見ると、細かな彫刻が見事に施されていて、これが江戸時代の建物かと思うと、何だか不思議な感じがしますよね。
この社殿は元々ここではなく、国道5号線付近に建っていたそうで、昭和13年(1938年)に国道工事のために一旦解体され、同15年に現在地に移築されたそうです。
ちなみに、小樽の建造物で次に古いものは、祝津にある恵美須神社本殿で、文久3年(1863年)の創建とされています。
そうそう、忍路神社の境内には、大きなイチョウの木が1本立っているのですが、この木は小樽市の保存樹林に指定されていて、推定樹齢100年以上とのことで、神社と共に昔から忍路の町と海を見守り続けているんですね。
以上、忍路の古い神社についてでしたが、忍路に行く機会があったら、美しい海と一緒に、歴史ある神社を訪ねてみてはいかがでしょうか。
(参考:小樽市HP内: 小樽市指定歴史的建造物内「歴史的建造物ガイドマップ ひとくちメモ5」より)
写真:小梅太郎の「小樽日記」
(小梅太郎)