土曜市
小樽駅前通りから海に向かって下ると、右手に「都通り商店街」があります。
5月から11月まで、この通りで土曜市が行われています。
今年も始まったといううわさを聞きつけ、行ってきました。
この土曜市は、「しりべしなんでも百姓くらぶ」(通称百姓くらぶ)という小樽近郊の家族経営規模の新農民(他業種から就農した人達)のグループが主催し、無農薬の野菜や山菜、エサや飼い方に気を配って育てられた自然卵、はちみつやパンなどを直売しています。
赤井川市のみみずく舎発行のミニコミ誌「おむすび」によると、この市が始まったのは30年近くも前のこと。以前は花園グリーンロードで年一回開かれていたそうですが、「もっと多く来てほしい」という利用者の要望から毎週土曜日に行われる今の土曜市に発展してきたそうです。
11時ごろから販売が始まるのですが、お昼を過ぎるともう品薄というくらい市民にも人気があります。5月はまだ越冬の野菜が主なのですが、ちょうど山菜の季節なので、フキやウド、コゴミなどがたくさん売られていて、私が行った時も人だかりができていました。その時によって並べられているものも違うので、「今日は何が出てるかな~」と楽しみにして行きます。これぞ、買い物の楽しみです。「無農薬の野菜」というとお高いイメージかと思いますが、地元の直売なので、お財布に優しいお値段です。
「百姓くらぶ」が大事にしてきたのは、顔の見える関係だそうです。
私たちは普段、どのくらい顔の見える関係を持っているのでしょうか。グローバル経済に生きる現代、合理化された巨大システムの中で、「顔」は見えなくなっていく一方である気がします。人と人とのつながりが希薄な社会に生きる私たちは、時に、「生きている実感」を見失ってしまうこともあるかもしれません。これは「暮らす」ことを簡便化してきたことと無関係ではないはずです。
百姓くらぶの土曜市は、買う人と売る人の直接的な関係を築き、「暮らす」ことの意味を問う営みでもあると感じるのです。
(川)