郷愁漂う紅葉橋の坂よいつまでも
「○○にある坂の名称を知っていますか?」と聞かれるとすぐに答えることができるだろうか。普段何気なく歩いている坂の名称を我々はあまり知らない。
例えば、私を含めた小樽商大生は通学時に必ず歩く“地獄坂”が馴染の坂となっているだろう。では、他によく通る坂の名称を詳しく知っているだろうか。私も含めて、多くの坂を知っている学生は少ない。もしかすると、長く小樽に住んでいる人であっても詳しい人は少ないかもしれない。
『紅葉橋の坂』という坂をご存じだろうか。この坂の入り口に架かる紅葉橋からは懐かしさを感じさせる景色を眺めることができ、「はるか、ノスタルジィ」という映画のロケ地としても活躍した。ロケ地として選ばれるだけのことはあると、その景色を見たことのある人なら誰もが思うだろう。また、この紅葉橋に立つ4本の柱も郷愁漂う雰囲気を形成するのに一役買っており、気分転換に訪れるにはうってつけの場所であるのだ。
「さて、散歩でもしようかな」
そんな時、私は紅葉橋の坂をよく歩く。私の住んでいる場所的に、この坂を散歩のコースとして組み込めば歩く距離がちょうど良い具合になるからだ。それだけでなく、勾配の厳しい坂であるため運動に適していることもこの坂を選んでいる理由だ。短い坂ではあるが、多くの自然に囲まれており、四季を感じることのできる坂なので私は大好きである。小樽市民会館、小樽総合体育館といったものがこの坂を経由して訪れることができ、非常に大切な役割を果たしている。
紅葉橋の坂を上りきった場所から見える景色は、絶景と呼べるものではない。しかし、四季を感じられるその景色を私は何度も体験しており、どことなく優しい気持ちにしてくれる。だからこそ、運動のために散歩をするとき、嫌なことがあって気が落ちているとき、やる気が出ないとき…心の拠り所のようにこの坂を駆け上がるのだ。
観光地としては立地的になかなか台頭することは難しいが、それ故に落ち着いた雰囲気を長らく維持しているのだろう。私は今後も幾度となくこの坂を歩くし、いつまでも懐かしさを感じさせてくれる優しい場所であってほしい。
(田中くん)