小樽の坂、一期一会
小樽の坂。私達小樽商科大学生にとって一番身近な坂と言えば、ズバリ地獄坂である。初めて小樽を訪れたとき、この名前を見てギョっとしたものだ。しかし、小樽には地獄坂だけではない、沢山の坂がある。
小樽に一人暮らしをして間もなく、私はどうしようもないホームシックにかかった。これは小樽という町にまだ馴染んでいないからだと思い、ダイエットも兼ねて休みの日に散策をしてみた。今から三年前の事である。迷ったら市内バスに乗れば帰れるだろうと思い、とりあえずスニーカーを履いて歩きだしてみた。
想像以上の坂の多さであった。
まず平面がないのではないか。ここはどこだ。案の定迷った私は、とりあえず下ってみた。しかし道が悪かったのか、下った先にあるのは再び上り坂であった。この写真はおそらく南小樽の方で撮った写真だと思うのだが、再びここへ行けるかと問われれば否と答えざるを得ない。
よく人と人とは一期一会というが、私にとっては景色も一期一会である。
結局帰れなくなった私は、犬の散歩をしていた親切なおばあちゃんに道を聞き、迷いながらも無事に帰ることができた。坂の町小樽に住んでいるおばあちゃんは親切であり、また坂を歩いているからかとても足腰が強いのである。
今はスマートフォンで、自分の今いる場所がすぐわかるものだが、スマートフォンに頼らず、当てもなく散歩をして迷子になるのも楽しいものである。
疲れたとき、落ち込んだとき、私は小樽を散策する。そこには新鮮な驚きと、新しい出会いがある。私に散歩の楽しさを教えてくれたのは小樽である。きっと5年、10年経っても、私は小樽に好意を持ち続けていると思う。
(増)