暑寒別・増毛連峰と石狩湾

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 小樽では、冬の天気がいい日に海に臨むと、本当に美しい光景に出合えます。

 桜町や朝里の海岸沿いから見るのもいいですし、高台に上って見るのもまた違った魅力があります。
 写真は、天狗山のロープウェイ乗り場付近から撮ったものです。天狗山の展望台・ロープウェイは2009年「ミシュラングリーンガイドジャポン」の一つ星に選定されました。そのせいか、最近は外国の観光客の方たちがバスで訪れる姿もよく見かけます。

 青い石狩湾の対岸に、白く輝く暑寒別・増毛連峰が厳として並んでいます。その様は、白い神々が集っているようです。
 海の色はその日によって違い、澄んだエメラルドグリーンの時もあれば、深い藍色の時もあり、時化ている時は白い波がアクセントをつけてくれます。
 それは息をのむほどに美しいのです。
 私の乏しい表現力では、その光景の素晴らしさをとても伝えきれないことが、歯がゆく思われます。ぜひ、実際に見てみることをお勧めします。これまでいろいろな美しい景色に出合いましたが、私はこの海と山が最も好きです。人を容易には寄せ付けない、凛とした美しさに惹かれるのです。

 小樽の冬は長く厳しいものです。
 私は九州で生まれ育ったので、寒さや雪にも不慣れで、最初は白一色の長い冬に気が滅入りました。加えて、小樽に越してきたときは、子どもがまだ小さく、冬は外出するにも自分の支度に子どもの支度とで、ちょっと買い物に行きたいだけなのに、出ていくまでにもう疲れ果てているといった有様でした。

 そんな時、目にしたのがこの風景です。
 海と山。夏に見るのとは全く違う神々しさに言葉を忘れました。厳しい冬のもたらす圧倒的な美に、雪の恵みを感じたのです。

 それから、雪が好きになりました。
 かいた先から積もっていく時には、さすがにうんざりしますが、自然の厳しさが日常生活とともにあることが、ここに住む人達の温かさを支えている気がします。

 止まない雪が恨めしいときは、こんなわらべ歌を歌います。
 ♪上見ればむしっこ 中見ればわたっこ 下見ればゆきっこ♪
 秋田県に伝わる雪の歌だそうですが、歌っていると雪がかわいく見えてきます。
 雪深い地方に住む人々は、こうして雪に愛着を持ちながら、ともに生きてきたのだろうと思います。

(川)