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 小樽で「蔵」といえば、運河沿いの石造りの倉庫を連想するかもしれません。

 確かにあの風景は、ガイドブックでは、小樽の象徴のようによく取り上げられていますよね。街中でも、蔵は、おしゃれなカフェやレストランなどとして「リノベーション」されています。

 しかし、住宅街にも蔵のある建物が時々見られます。これは散策の大いなる楽しみとなります。
正面から見ると、一見近代的な家に見えても、裏に回ると石造りの蔵がある家というのが、小樽では珍しくありません。石造りの蔵は、重厚的で、堂々としていて、幾年もの風雨に耐えてきたという記憶が刻み込まれたようで、とても魅力があります。いろんな風景の移り変わりをじっと見てきたのでしょう。

 実は、夫の実家にも蔵があります。先代の祖父母が譲り受けるまでは、繊維問屋のご隠居さんが暮らしていたという話ですから、蔵があるのもうなずけます。

 この蔵、実は素敵な外観というだけではなく、実用的でもあります。

 私は、毎年自分で味噌を仕込むのですが、全館暖房の我が家では、冬でもどこも暖かすぎて、味噌を熟成させる置き場がないのです。味噌は雑菌が繁殖しにくい2月頃仕込みます。それから8月頃まで涼しい場所で熟成を待つのですが、蔵の環境は味噌の熟成に最適なのです。
北海道産の無農薬の大豆、北海道産米の麹、そして塩でできた味噌は、塩重石をし、蔵に保管しておくと、全くカビも生えず、とてもおいしく出来上がります。

 これこそほんとの蔵出し味噌。
今日もありがたーく味噌汁にしていただきます。

(川)