中央通りの冬囲い

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11月も終わりに近づいた初冬の朝、出勤前に小樽駅から港に繋がる中央通りを歩いた。
道の真ん中になにやら茶色いニョロニョロのような可愛いものがずらり。

雪が積もる地域に住む人ならご存知の冬囲い。これから積もる雪の重みで木が倒れたり枝が折れたりするのを防ぐための冬への準備。秋になると住宅街のあちこちの庭でよく見かける冬囲いは、街中でも植樹枡や中央分離帯の街路樹に施される。

この茶色いニョロニョロの正体は、実はツツジの木。
春になり、道路の雪が融け、中央分離帯の雪がなくなり、それでもしばらくツツジは咲かない。梅の花が咲き、桜が咲き、樹々の枝に新緑が芽生えてくる5月からようやく咲き出す。このツツジは、今年6月初めに濃いオレンジ色の花が満開になっていた。

今年は春から秋まで多くの豪華クルーズ客船が小樽港に入港し、駅前から真っすぐ前に見える第3号ふ頭に停泊した。小樽駅を出た途端に港に停泊するクルーズ船や航海訓練船日本丸が見える光景は圧巻で、ツツジはいつもその名脇役で通りに彩りを添えていた。
街を行く人の服装が軽やかになる春にはそれに合わせるように花を咲かせる。夏の潮まつりの時期には緑色の葉を茂らせ、コートが欲しくなる季節には葉を紅葉させて秋を知らせる。
あまり人目を引く事もないのだが、車の排気ガスが多いこんな環境でも、毎年花を咲かせてくれる。そして、紅葉した葉を落としたツツジは長い冬の休みに入るためにしっかりと囲われていた。

「もうすぐ雪だな。」
冬囲いを見てそう思ったが、寂しいとか、憂鬱だとは思わなかった。
柔らかい初冬の朝日を浴びている茶色いニョロニョロは、なぜか気持ちを暖かくしてくれた。

(ニョロニョロは、ムーミンの物語に出てくる白くてひょろりとした体に短い手がついた不思議な生き物です。)

(まがらりか)