東小樽海岸

higashiotarukaigan00

それは真夏の暑い日だった。

少年たちは海に行こうと思いついた。
自分たちだけで海に行くなんて、なんだか大人になった気分。

そうだ!炭を持って行って海で何か焼こう!

少年たちの中でも一番背の低い子が
「ウチに網があるよ」と言ったのをきっかけに
みんなそれぞれ家に戻り、使えそうなものを持ってまた集まることにした。

その一番背の低い少年が家で母に訊ねる。
「これから海に行くから、ライターと網を持って行っていい?」

「海?ライター?何か焼くの?子どもだけ?
大人はいないの?危ないじゃない」と驚く母。

そばにいて話を聞いていた父が
「いつもゲームばかりしている子どもたちが
自分たちで何かをやろうとしているんだ。
行かせてやれ。
何でもダメと言っていたら、火も使えなくなる。」

その一言で決まり。
ゴムボートも持って行きたいと言ってみたが
さすがに「流されるからダメ」とそれは却下。
彼はライターやら網やらを持って出かけて行った。

息子を送り出したものの、後になって心配になった母。
下の子を連れて遊びに行くと言うこじつけの理由を作って
海まで様子を見に行く。

海水浴客でにぎわう場所から随分離れた所に少年たちはいた。

大きめの石を台にして網が乗せてある。
下には火を起こした後。
炭で火を起こしたというよりは段ボールでも燃やしたような灰が少し残っていた。

網の上には小さな小さなウニの殻とイソガニが焼けていた。
自分たちで海から採ってきたらしい。

今時の子でもこんな遊びができるんだなと感心する母。
いやいや、それよりも何よりも、何事も起こらずに良かったとホッとする。
本当はウニって採っちゃいけないんだよな〜と心の中でつぶやきながら。

もう十数年前の東小樽海岸での出来事。
少年たちはすでに成人し、それぞれの道を歩み始めている。

小さな生き物が生息する東小樽の海で、きっと来年の夏も小さな探検家たちの小さな冒険が繰り広げられる。

(まがらりか)