勝納川
川が好きだ。
なぜか川に惹かれる。川は、私の一番のリラクゼーションスポットかもしれない。
小樽の水辺といえば、一番に浮かぶのが海。そして運河だろうか。
しかし、小樽の川もなかなか魅力的だ。
奥沢水源地から勝納に伸びる勝納川の岸辺には遊歩道があり、冬季以外は川に沿って歩くことができる。勝納の方からずっと歩いていくと南樽市場が見えてくる。多くの車が行き交う国道5号線の下を潜り抜け、なお行くと奥沢に行きつく。散歩をしていると、買い物袋を下げた人やランニングをしている人とすれ違う。生活道路でもあるのだ。
カモが何羽も、川に身を任せて上流から流されてくる姿も、愛嬌があって、見ていて飽きない。カモメが小さな魚をハンティングする姿を見られることもある。
9月下旬からは鮭も上り始める。
北海道に来て10年になるが、この時期に鮭を見ると、小学校で歌った「約束」という曲に出てくる「海で育った鮭たちは冷たい流れを遡る 約束守って北国の生まれた川へ帰ってきたんだね…(中略)お前が守った約束は命がけのものなんだ」という歌詞が思い出される。
初めてその姿を見たとき、なにげなく歌っていたあの曲には、こんなすごい現実があったということに、心底驚き、感動した。
鮭は、鱗が取れボロボロになって、時折カラスやカモメにつつかれながらも、命をつなぐためにただひたすらに川を上る。この光景が生活の一部にあることは、本当に素晴らしいと思う。現代人はみんな、鮭の姿を見たほうがいい。
心配なのは、川は河岸工事がなされていて、滝登り的なことをしないとさらに上流まではいけないことだ。奇跡的に滝登りし上流に行けた鮭だけが産卵するのか、上流をあきらめて滝登りスポットの前に産卵をしてしまうのか…。
人間が鮭の試練を宿命より過酷にしているとしたら、誠に申し訳ないと思う。
勝納川が、鮭の帰る川であり続けることを願ってやまない。
(川)