小樽のウマイ店

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おたるにはウマイ店がたくさんある。
できることなら
「食べブラ」だけで1日過ごしたい。

持ち帰り専門の天ぷら店はけっこう珍しい。総菜屋でもなく食堂でもない。持ち帰り天ぷら一筋。国道5号線沿いの入船市場隣にあるその店は、地元市民に愛され続ける創業70年の老舗だ。

仕事中に前を通りかかったので立ち寄った。
ガラスケースの中にきれいに並べられた揚げたての天ぷら。海老天と海苔天、なす天を購入。
袋に入れて持ち歩いていると、ふんわり海老のいいかおりが漂ってくる。袋から伝わる温かみを感じながら、家に帰ったらどんな食べ方をしようかとふと考えてしまう。

この日はいつになく忙しく、口に入ったのは買ってから実に8時間後だった。しかしウマかった。海老は海老らしいぷりぷりとした歯ごたえがあるし風味も失われていない。海苔やナスはしっかりした旨味で楽しめた。これこそが持ち帰り専門店の技。独自の製法が小樽市民の舌を長きに渡り納得させてきたのだ。どうして持ち帰り専門なのだろう、揚げたてならいったいどんなウマサなのだろうとあらためて思った。

おたるにはウマイ店がたくさんある。
食堂やレストランはもちろん、買ってその場で食べる「食べブラ」もおたるらしいなと思う。できることなら食べ歩きだけで1日過ごしたい。
お菓子、飴玉、ソフトクリームといった甘味処はもちろん、餅屋にパン屋、かまぼこ屋、どれも作りたての昔ながらの味を楽しませてくれる。ハンバーガーをほおばりながら歩くのもいいけど、おたるは手づくりパンやしょうゆ団子を食べながら歩くのもかっこいいのだ。もちろん天ぷらだってかまわない。

たぶん5年後や10年後に行っても、あいかわらず心優しい大将やおかみさんがいて、今と同じように淡々と作ってくれているにちがいない。気取らず、誰に媚びることなく、いつでも自然体で接してくれるのだ。だから地元民から長く愛される。

おたるには不思議とそんな店が多い。

(よし)