高島橋と寿司屋通り
寿司屋通り。かつては旧グランドホテルと花銀入り口ゲートの間から、旧手宮線ガードの辺りまでがそう呼ばれていた。
その後、老舗の寿司屋さんから、新進気鋭の板前さんが次々独立して開業し、寿司屋通りは運河側へと延びていった。
わたしは十年前に、縁があってタクシー運転手になったが、無線で呼ばれて様々なお寿司屋さんにお客様のお供に上がるうち、こんなことに気がついたものだ。
市内の各家庭にお客様を送ることが多かったり、喪服姿の団体さんが大勢出て来るお寿司屋さんは、地元の常連さんが多いということに。
タクシーのお客様からおすすめのお寿司屋さんをたずねられると、思わずそういうお店を紹介してしまうのだ。えこひいきはいけないと、頭ではわかっていたとしても。
この十年の間に、様々な事情でお店を閉じられたところもあれば、逆に新しく始まったお店もある。
寿司屋通りの、高島橋からオコバチ川を山に向かって見上げたあたりには、イタリア料理店、カフェ、そしてアイヌ工芸のお店など、バラエティーに富んだ店が立ち並び、観光客の目を楽しませている。
この高島橋、欄干には「たかしまば志」と書かれている。かつて銀行マンや商人が行き交っていたこの橋を、今は観光客と地元住人が行き交う。
高島橋は、観光客の集まる堺町と市の中心部の境にある。高島橋から堺町側は観光のお客様、市の中心部側は地元の人と、堺町の観光地と市中心部が遊離しているが、この近辺のお店には、地元の常連さんと観光のお客様、どちらにも人気のある店が多い。
この橋を足がかりに、地元の人と観光のお客様の交流が進むように、私も頑張っていきたいものだ。
(轟 拓未)