雪あかりの思い出(浅草橋)

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小樽雪あかりの路の運河会場、浅草橋はあまりにも有名な撮影スポット。小樽雪あかりの路といえば、この風景を思い出す人が多いに違いない。ここに、私の小さな思い出がある。

小樽雪あかりの路期間の週末、夕暮れ時の浅草橋は、運河を背景に記念撮影をする観光客や、三脚を立てたカメラマンたちでごった返す。
写真がブルーに映るこの時間は特に人気だ。思うように写真を撮れない人もいるようだが、後はマナーと思いやりで譲り合い、心安らぐ優しいろうそくのあかりに癒され、楽しんで行ってほしいと願っている。

それほど週末は混み合う雪あかりの路だが、小樽に宿泊してくれるお客様は少ないらしい。実にもったいないと私はいつも思う。メーン会場以外の「雪あかりの路会場」の美しさを見ずして雪あかりの路は語れない。中には甘酒やココアなどを振る舞う、心も体も暖まるおもてなしをしてくれる会場もある。一日では、到底雪あかりの路は見て回れない。

そんな雪あかりの路だが、平日のすでに暗くなっている時間帯は、浅草橋でもそれほど混み合っていない。この写真は昨年の平日の撮影、すでにブルーの時間帯も過ぎているのでお客様は少なかったが、カメラマンはまだたくさんいた。

この時、かなり年期の入ったカメラ(たしかフィルムカメラ)を構えていた男性に声を掛けられた。「ほら、ここから綺麗に撮れるよ!もう撮り終わったからここで撮りな」と言って場所を空けてくれた。きっと私がカメラ初心者だとわかったに違いない。福島からフェリーに乗って来たという年配のこの男性は、前日に苫小牧に着き、そこから車で小樽に来たという。そして到着した日は雪で撮影が出来なかったので、一泊延長してもう一度撮りに来たと話してくれた。

「福島から来たんだよ。放射線うつるよ!」と笑いながら話す男性。「そんなことありませんよ!」と私。この人はそんな事を今までにも言われて来たのだろうか、ひどい人がいるもんだと、人ごとながら腹が立った。

「さて、明日は釧路にタンチョウを撮りに行くよ!」朗らかに話す彼は、本当に人生を楽しんでいるようだった。そして、場所を確保したらいつまでも譲らないカメラマンがいる中、こんなに余裕のある撮影をする人もいるのだ、こういう人が本当にカメラを楽しんでいる人なのだとも感じた。写真の話やタンチョウの話をしながら眺める優しいろうそくのあかりは、とても心を暖めてくれた。

すでに一泊していて、明日出発するというこの男性に「他にももっと素敵な場所がありますよ!」と、その時は言えなかった。なぜなら自分がまだ他の会場をよく知らなかったから。

今年の雪あかりの路は、メーン会場から遠く離れた塩谷の会場や、今年初めて開催された浅原硝子さんの会場、去年も行ったカトリック富岡教会や朝里川温泉会場にも足を運んだ。それぞれがメーン会場とは違うそれぞれの美しさだった。

いつか、小樽雪あかりの路で、あの男性にまた浅草橋で会えたら、私は自信をもってこう言うだろう。
「ここもいいけど、他にもたくさん素敵な場所がありますよ!ぜひ行っていい写真をたくさん撮って来てくださいね!」

(まがら りか)