深夜に食べたい油ものin小樽
誰にでも、若い男なら特に夜中にがっつり油ものを食べたくなる時があるだろう。油ものと言ってまず思いつくのはラーメンだと思うのだが、小樽の多くのラーメン屋が22時ぐらいには閉店してしまう。私はここで、深夜でもやっている数少ないラーメン屋の一つを紹介しようと思う。
その店は、花園銀座の高架下にある「麺や 右衛門」である。近くにタイムズ駐車場があるので車でも来やすい。営業時間は17時から翌日2時までで、日曜が定休日だ。店内にテレビはなく、ただラジオだけが流れている。店が線路下にあるので、電車が通ると室内はガタゴトと音がして揺れる。店主は不愛想というわけではないが、必要なことしか話さない感じだ。
何を食ったらよいかと言うと、みそ塩醤油のラーメンもうまいが、おすすめするのは何といっても油そばである。しこしことした太麺に、肉やメンマ、卵にわかめに何やらかんやらを混ぜ合わせて、どんぶりの底にたまった油スープと絡ませる。
太麺の歯ごたえに、いろいろな食材の味、そしてこれでもかというくらいの油がガツンとくる。麺を食べきって具と油が残ったところで、追い飯という2口分くらいの飯をどんぶりに投入して最後のしめにするのが油そばの一連の食べ方だ。食べ終えたときにはあまりの油っこさで多少の胸焼けを感じるかもしれないが、我々が深夜に、求めているのはまさに、これほどまでのがっつりとした食なのではないか。
小樽で油っぽいものを深夜にがっつり食おうとなると、私が知っているのは右衛門以外にはもう一店ぐらいだが、あそこは深夜に独特の風情がない。薄暗い道路脇に明るいライトを灯して営業して、店内は放送がうるさい。
それに比べて深夜の高架下の右衛門は、これやってるの?と思ってしまうような、いい意味で薄暗い店構えで、静かに己の食欲を満たすことができる。
これから機会があるときに、食はもちろん、この店ならではの雰囲気をも味わいに右衛門に行ってみてはどうだろうか。そうすれば小樽に独特の、無骨なあったかさを感じられるはずだ。
(メンチン)