朝日湯
朝日湯は小樽市内に9軒残る銭湯のひとつである。緑第一大通り中ほどの緑2丁目に位置している。
緑第一大通り沿いには50年ほど前まで、3軒の銭湯があった。商大通りとの交差点にあった松の湯、緑一丁目の長らく「まつはま」という弁当屋さんがあり現在は駐車場になっている所に緑湯があり、そしてこの朝日湯が一番大きく、早くから家族風呂を付設させた界隈の人気銭湯だった。
さらに緑第二大通りには高尚湯と最上湯もあり、緑町も手宮地区や入船の量徳寺界隈共々、銭湯の街小樽を地で行くような地域だった。
朝日湯の創業は、大正13年(1924年)。小樽でも温泉とそば屋で有名な小町湯に次いで古い銭湯かなと思う。石鹸箱に手拭いをぶら下げて、銭湯通いをしていた商大通りに住んでいた小学2年生の昭和41年(1966年)、家族で行くときは一番近所の高尚湯だった。ただ、友だちと一緒に行くときは、遊びも半分だったので緑湯やこの朝日湯まで足を延ばしたこともしばしばあった。
どちらかというと小ぶりだった高尚湯や緑湯に比べ、朝日湯は湯船や洗い場、脱衣場とすべて一回り以上大きかったので、子ども心に温泉ホテルに行っているような感覚だった。
現在、朝日湯の駐車場になっているところに産業会館前にある松月堂があった。私は中学2年生の年末にここでアルバイトをしたことがある。その時の雑作業中、誤って灯油を頭からほんの少しだけ被った事があった。
バイト終了後、店主から朝日湯の家族風呂に行って来いと入浴代を渡されたことがあった。それが生まれて初めての家族風呂入浴だったのだ。一人大きな湯船に浸かり、誰にも邪魔されず手足を大きく伸ばし、バチャバチャやったことを思い出す。
その後、何度か息子を連れて大浴場、家族風呂にもお邪魔しているのだが、最初のインパクトは絶大であった。
聞くところによると重油ボイラーの経年劣化で、それを更新するには巨額の経費がかかり、銭湯存続問題も浮上していると、近所に住み朝風呂を楽しんでいる生徒さんが教えてくれた。
(斎藤仁)