大きな桜の木の下で

cherryblossom

 桜といえば4月の入学式とセットで登場することが非常に多い。しかし、これは本州などに限定される話で北海道では入学式の時期には雪すら残っているくらいだ。そんな北海道で桜が見られるようになるのは5月に入ってから。桜は長く寒かった北海道の冬が終わったことを実感させてくれる花。そんな桜のお話。

 小樽には桜の見られるスポットは複数ある。その中で自分が一番気に入っているのが小樽商科大学へ続く地獄坂の途中にある妙龍寺の大きな桜だ。入学して初めて見たその桜は綺麗で強い存在感を持っていた。当時、1年生だった自分はその迫力に圧倒された。

 地獄坂から少し高くなったところに建っている妙龍寺の桜は全体を下から見上げるように見ることになる。左右に大きく開く桜の花が視界いっぱいに広がる光景はまさに圧巻だ。

 妙龍寺の桜が好きな理由はその圧倒的な迫力だけではない。桜の木の後ろにある妙龍寺の薄い緑色の屋根と桃色の桜の対比も好きなのだ。桜だけでもダメだし屋根だけでももちろんダメなのだ。屋根と桜の両方があってあのすばらしい光景が構成されているのだ。妙龍寺の屋根の色が桜とのコントラストを狙っているかどうかはわからないが、もしも狙って屋根の色をあの色にしたというのであれば住職さんグッジョブです!!

 「桜は日本人の心の花である」のように言われることがあるが実際にそうだなとこの桜を見て思う。普段、花になどまったく興味がなくても立派な桜をみると立ち止まり見てしまうことがあるだろう。道の端に咲いている小さな花に気がつく人は滅多にいないが、桜の花はそうではない。桜には日本人の心をつかむなにか不思議な力があると思えてならない。

 今はまだまだ冬が元気な1月。桜の時期はおろか雪解けすらかなり先のお話だ。寒さと雪が苦手でしょうがない自分としては早く妙龍寺の満開の桜が見られる季節になってほしいとせつに思うばかりの今日この頃である。

(ぴくし~)

※本稿は2014年1月に執筆された記事です。