ねこつぼ
愛犬との朝の散歩中に、写真の「ねこつぼ」を見つけた・・・。というか、前から店の前を車で通り存在には気づいていたのだが・・・。しゃれた犬小屋のような風貌にいつか写真を撮ってやろうと思っていた。触って分かったのだが、このつぼ見た目よりがっちりしていて、ずっしりと重いものである。
場所は入船本通り、大正硝子ギャラリー蔵。これはねこつぼと呼ばれる・・・という説明板が掲げられていたので少々由緒を勉強させていただいた。
ちなみに堺橋のたもとにある大正硝子本店の店先にも、オブジェとしてツボの中に間接照明を入れて飾ってあったことがあり、夜など観光客の目を楽しませていたのは知っていた。そこの物は、今は何故か片づけられているのだが・・・。
ここの「ねこつぼ」には照明器具がはいっていなかったので、ご覧のように無理を言って入ってもらい???、記念撮影の一枚を撮らせていただいたわけだ・・・。
この通称「ねこつぼ」は、ガラス工場でガラス原料を入れて溶かす溶解炉の一部という事だ。正式にはそれを使う炉を坩堝(るつぼ)炉という。レンガなどでできた窯の中にこれらを並べ、まわりからガスや電気で加熱するという事の様だ。ちなみにるつぼとは「興奮のるつぼと化す」の語源となったるつぼである。
「ねこつぼ」という名前は猫の背に似ていることから生まれた、ガラス業界の通称と前述案内板に記載されていた。また、日本独自の形らしい。
確かに、つぼの底には溶かしたであろうガラス原料の残りが、びっしりとこびり付いていた。ガラスを溶かすということは、1000度を超える高温で毎日使われるということだ。年に数回取り換えられる物のようだ。
ガラスの街として今や全国的に有名な小樽である。しかし、その製品の制作過程は堺町や天狗山の体験型ガラス工房の吹きガラスなどでよく知られているが、原料であるガラスの作成過程は意外と知られていないと思う。この「ねこつぼ」のおかげで、その過程を垣間見させていただいた。
(斎藤仁)