旧中越銀行小樽支店
メルヘン交差点に建つ「銀の鐘1号館」は、大正13年(1924年)築の富山県を祖に持つ、旧中越銀行小樽支店だった。
昭和18年(1943年)、国策により「一県一銀行」の方針が取られ、十二銀行、富山銀行、高岡銀行と合併し現在も市内に小樽支店、奥沢口支店を有する北陸銀行となった。
北前船交易で、明治以前から交流のあった加越能(かえつのう、加賀、越中、能登の略称)からの商人、移住者が小樽の街に多大なる影響を及ぼした。それ故、北陸地方の銀行が小樽をはじめ、北海道に多く進出しているのはよく知られている。
この建物前にある小樽市指定歴史的建造物第38号の案内看板には、前述のように昭和18年に合併し北陸銀行になり、20年後の昭和38年に北陸銀行南小樽支店と改称されたと記載されている。
しかし、南小樽支店に改称されるまでの20年間の支店名称が書かれていない???
十二銀行の小樽支店は三菱銀行小樽支店と電話番号一番で有名な名取商店(現大正硝子館本店)の間にあったはずだから、小樽支店ではないと思うのだが・・・。
北洋銀行が拓銀の経営権を引き継いだ時のように、片や小樽支店、そしてもう一方は小樽中央支店のような呼び名だったのだろうか。国の政策で強制的に合併させられた銀行間で、イニシアチブを握る政争があったのだろうかと勝手に想像してしまう。
北陸銀行南小樽支店が閉店した後は、作業服などの縫製工場になり、現在は前述の通り堺町メルヘン交差点界隈で手広く展開している「銀の鐘」の1号館として、1階は手づくり洋菓子、雑貨お土産、2、3階は喫茶店、特に3階はラベンダーガーデンという一部オープンカフェのテラスになっていて、観光客や札幌圏の小樽マニアに大いに人気があるところである。また、喫茶コーナーでは、コーヒーカップの持ち帰りができることで有名なお店でもある。
ちなみに我が家にも、2号館でいただいた小さな陶器製とガラス製のデミカップが、カップボードの中に鎮座している・・・。
(斎藤仁)