小樽の海
小樽駅の改札を出て、少し背伸びをして遠くを見ると、空の色より濃いブルーが見えます。近いと感じさせますが、小樽駅から徒歩20分。まだかまだかと思っていると磯の匂いが鼻をかすみます。そこは見渡す限り日本海です。
ちょっとした散歩をするだけで海にたどり着ける。そういった魅力を持っている街が小樽ですね。小樽は坂の街と呼ばれるだけ、たくさんの坂がありますが、その坂を最後まで下ると海にぶつかります。坂、海とくれば、いくつもの映画のシーンを想像してしまいます。小樽はロマン溢れる街なのかもしれません。私のこの文章の序文も何かそういった、これからドラマが生まれるかのような書き出しですが、伝わったでしょうか。ちょっと無理がありそうですね。
実際にこの写真を取りに行ったとき私は駅からまっすぐ海に向かって歩いてみました。冬道ということもあって地面を見るばかりでしたが、旧手宮線を越え、小樽運河を渡って、人が少なくなってきたなあと気づいて顔を上げるとそこからは海がみえました。
海を見たときは、どうしてか達成感がこみ上げてきます。20分程度しか歩いていないのですけれど。理由などなく、ただ海を見に行くだけ。でも、そうすることでしか感じられない何かが確かにあったなあと感じました。海って不思議ですね。春夏秋冬構わず、いつでも海が見える街に住むことができれば、この気持ちの謎が少しは解けるのでしょうか。あえて解かないままずっと海を見続けるのもまた一興といったところでしょうか。
小樽にいらした際は、ぷらっと海まで散歩してみて、私と同じようにセンチな感情に襲われるロマンチストたちが小樽の魅力に浸って頂けると嬉しいです。
(佐々木)