ここが職人坂。場所は山田町

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坂の街・小樽には、観光マップにも掲載されているような、よく知られた坂道がいくつかあります。例えば「船見坂」や「地獄坂」など。また、最近テレビ番組などで取り上げられて話題になった「励ましの坂」などもありますよね。

そんな小樽の坂道の中で今回は、観光マップに乗っているのは目にするのですが、それほど知られてないような坂道「職人坂」についてです。

場所は、寿司屋通りの旧手宮線のすぐ下から上り、途中、水天宮への通りを横切り、そこから入船町側へと下る、幅の狭い坂道です。

実は、私もこの職人坂という名前の坂があるというのは、ほんの数年前に知ったのですが(何を隠そう観光マップで…)、ちょっと調べてみると、この坂道沿いには、昔は、仏壇屋や家具・建具屋のほか、塗り師、張り師、彫り師、表具師、金具師などの職人さんの仕事場が並んでいたそうです。

実際に歩いてみると、寿司屋通り側から上って行く通り沿いには、職人坂を思わせる名残りはないのですが、入船町方面に下って行く坂道沿いには、仏壇店などの看板が今も並んでいて、わずかに往時を偲ぶことができます。

今でこそ数は減ってしまいましたが、当時はきっと活気にわいた通りだったのでしょうね。

ところでこの職人坂は、細長い山田町全域を通り抜けるように位置しているのですが、この山田町という町名は、市内で唯一、人名に由来する町名だそうです。

その昔、付近一帯の土地を所有していた山田吉兵衛が、それまで入船と色内を結ぶ道は、水天宮下の海岸道路しかなかったのを、私財を投じて、水天宮の山の手側を通る道を1年かけて開削したそうで、その功績から町名が命名されたそうです。

そんな歴史の背景に思いを馳せつつ歩いてみると、今は普通の坂道の職人坂の風景も、ちょっと違って見えるかもしれませんね。

あっ、ただし、ここは寿司屋通りから入船町への抜け道にもなっていて、狭い通りの割には車が多いので、歩く際には要注意です。

参考:小樽市HP内 広報おたる連載「おたる坂まち散歩」の「第3話 職人坂(しょくにんざか)」より。

写真:小梅太郎の「小樽日記」

(小梅太郎)